イスラエル軍関係者は19日、イランの弾道ミサイルの発射施設のうち、これまでの攻撃で約3分の2を破壊したと明らかにした。AP通信などが伝えた。イスラエル軍はイランの空域で航空優勢を確立しており、今後もミサイル関連施設などへの空爆を強化するとみられる。
軍は13日に武力衝突が始まった時点で、イランの弾道ミサイル保有数を約2000発と推定していた。このうち400発以上がすでに発射され、さらに保管中に破壊されたミサイルもあるとみられる。
ただ、軍関係者によると、イランには依然として約100基の発射施設が残されており、一定の反撃能力を維持している。
イランが19日朝に実施した弾道ミサイル攻撃では、約20発が発射され、うち4発が着弾。各地で270人を超える負傷者が確認された。空中で複数の小さな「子爆弾」をばらまく「クラスター弾頭」が使用されたとの報道もあり、警戒が高まっている。
一方、イランでも首都テヘランなどでイスラエルによる激しい攻撃が続いた。イスラエル軍は、西部アラクの重水炉に加え、中部ナタンツの核施設や、核開発を主導しているとされるテヘランの研究機関の本部にも新たな攻撃を実施したとしている。国際原子力機関(IAEA)によると、アラクでは重水炉のほか、重水製造施設の建物にも被害が確認された。在米人権団体HRAによると、イラン側の死者は19日時点で少なくとも263人の民間人を含む639人に上った。
イスラエルのネタニヤフ首相は19日、地元メディアのインタビューで「我々はすべての核施設を攻撃する。それだけの力を持っている」と述べた。中部フォルドゥの地下核施設は、米軍の協力なしでは破壊が難しいとされるが、米国が軍事介入を見送った場合でも、イスラエルが単独で攻撃に踏み切る意向を示した。【カイロ金子淳】