現役高校生である上田のぞみさんが、性的マイノリティをはじめとする様々な悩みを抱える人々のために画期的な下着を開発しました。これは「胸を平らに見せる下着」として注目されており、自身の身体に違和感を持つ人々にとって精神的な安心感をもたらす可能性を秘めています。この取り組みは、社会的な課題解決を目指すSDGsの精神にも通じるものです。
開発のきっかけとプロセス
上田さんがこの下着開発に取り組んだのは、高校の卒業研究がきっかけでした。地元の渋谷区でパートナーシップ証明制度があることを学び、性的マイノリティに関する授業を受けたことから、この分野に関心を抱きました。研究テーマを模索する中で、着用したい下着が見つからず困っている中高生がいることを知り、彼女たちの声に寄り添う形で開発を決意。大手下着メーカーであるグンゼと約1年半にわたる共同開発を経て、製品化に至りました。このプロセスでは、当事者のリアルな声が反映され、ニーズに基づいた実用的な下着が追求されました。
「胸を平らに見せる下着」を開発した上田のぞみさんの肖像写真
下着の機能と効果
上田さんが開発した「胸を平らに見せる下着」は、胸のふくらみを物理的に目立たなくすることを目的としています。これにより、身体の性別に違和感がある人々が抱える外見への悩みを軽減し、自身の身体に対する不快感を和らげることができます。さらに、周囲から意図しない性別(特に女性)と見なされる機会が減るため、日常生活におけるストレスや精神的な負担を軽減し、より安心して過ごせるようになります。
高校生時代の制服姿で写る上田のぞみさん 卒業研究で下着開発に取り組む
この下着の需要は性的マイノリティに留まりません。胸が大きいことに悩む女性や、和装、コスプレなどで胸のラインを抑えたいというニーズにも応えることができます。実際に着用テストでは、胸のふくらみを約10cm抑えることができたケースもあり、その機能性の高さが示されています。
開発した「胸を平らに見せる下着」の着用効果 着用前(左)と着用後(右)の比較写真
プロジェクトから見えた社会課題と未来への思い
この下着開発プロジェクトを通して、上田さんは想像以上に多くの人々が性や身体に関する悩みを抱えている現実を知りました。この経験は、彼女のその後の学びへと繋がり、現在は大学で社会福祉を専攻し、誰もが生きやすい社会の実現を目指しています。自身の経験や学びを活かし、多様な人々が抱える生きづらさを減らし、心ない言動によって傷ついた人々の気持ちに寄り添い、支えとなる人々が増えることを願っています。
結論
高校生による「胸を平らに見せる下着」の開発は、特定のマイノリティだけでなく、多様な身体の悩みを持つ人々に寄り添う革新的な取り組みです。これは単なる製品開発に留まらず、社会の隠れたニーズに光を当て、共感と支援の輪を広げようとする強いメッセージを持っています。上田さんの活動は、より包括的で支え合いのある社会を築くための一歩として、多くの人々に勇気と希望を与えています。
参考文献: