性犯罪の再犯率が高いことは広く知られており、その背景にある性的嗜好の歪みは矯正が困難とされています。中には10年以上の時を経て、再び同じ手口で犯行を繰り返すケースも報告されています。今月12日、神奈川県警に不同意わいせつの容疑で逮捕された、自称清掃業の美嶋隼人容疑者(43歳)も、過去に同様の事件で有罪判決を受けている元プロ野球選手であり、再犯問題が改めて浮き彫りとなっています。
県警詰め記者によると、美嶋容疑者は今から20年前と13年前にもわいせつ事件を起こし、刑罰を受けています。特に13年前、2012年当時は「堂上隼人」の名前で福岡ソフトバンクホークスの捕手としてプレーしており、現役選手の不祥事として大きく報じられ、球団との契約を解除され、懲役2年の実刑判決が確定した過去があります。
名字を美嶋に改姓していた同容疑者は、今月12日午前8時過ぎ、横浜市旭区の自宅マンション敷地内で逮捕されました。逮捕容疑は4月20日午後11時35分ごろ、旭区に隣接する保土ケ谷区内を歩いていた専門学校に通う18歳の女性に対し、上半身を触るなどした疑いです。容疑者と被害女性には面識がなく、突然の犯行だったとされています。
被害女性の親族からの通報が事件発覚のきっかけとなりました。現場周辺の防犯カメラ映像などから美嶋容疑者が浮上し、今回の逮捕に至りました。逮捕後の美嶋容疑者は泰然とした様子で、「弁護士が来るまで話しません」と供述を保留しているとのことです。現在、警察は横浜市内で発生した複数の類似事案についても、美嶋容疑者の関与の有無を慎重に調べています。
神奈川県横浜市出身の美嶋容疑者は、3歳から野球を始めました。私立武相高校時代には、夏の県予選で1学年上の松坂大輔氏と対戦し、敗れた経験があります。横浜商科大学へ進学し、4年時の2003年には日米大学野球にも出場するなど、その経歴は輝かしいものでした。
現役時代の元ソフトバンクホークス捕手、美嶋隼人容疑者
野球ライターは、美嶋容疑者の強肩強打を当時の売りに挙げています。「大学卒業後は社会人野球の日産自動車、独立リーグの香川オリーブガイナーズを経て、2008年にソフトバンクに育成ドラフト5位で入団しました。2009年の開幕前には支配下選手登録を勝ち取ったものの、残念ながら1軍に定着することはできませんでした。相手の研究も練習も、人一倍真面目に打ち込む努力家という印象でした」。
美嶋容疑者の高校時代から彼を知るという男性は、今回の逮捕に憤りを隠せません。「プロ入りまでの彼の苦労を見てきたので、本気で応援していました。2010年に日ハム戦でプロ初スタメンとなった時は、仲間と居酒屋に集まって観戦したほどです。でも、このような形で完全に裏切られました」。
美嶋容疑者は、2012年8月から10月にかけて、わずか数カ月の間に福岡県警に合計3回逮捕されていました。いずれも福岡県内での、面識のない女性に対する強制わいせつ容疑でした。当時の被害者は、17歳だった少女、18歳の女子短大生、20歳のアルバイト女性など、比較的若い年齢層でした。「殴るぞ」などと脅して駐車場に連れ込んだり、被害者のアパートの通路で暴行に及んだりするなど、その手口は今回逮捕された不同意わいせつ事案の被害者と似た年齢層に対する犯行であり、その常習性が指摘されています。
今回の再逮捕は、過去にプロ野球選手として注目された人物が再び性犯罪に関与したという点で衝撃を与えています。同時に、性犯罪の再犯防止と社会復帰の難しさという、根深い社会問題の解決に向けた課題を改めて提起しています。警察の今後の捜査により、他にも余罪が明らかになる可能性もあり、事件の全容解明が待たれます。
[Source link ](https://news.yahoo.co.jp/articles/8c48d88f0d3ad9af4b30aaafe5efffd5ae9e67de)