今、若い世代、特にZ世代の女性たちの間で、かつてのコーチのバッグ「オールドコーチ」が大きな人気を集めていることをご存じでしょうか。なぜ「新しいものより古いもの」が好まれるのか、疑問に思う方もいるかもしれません。しかし、Z世代の消費意識は変化しており、新しいコーチよりもヴィンテージのコーチを好む傾向が見られます。この記事では、この新しい消費トレンドの背景と、「オールドコーチ」がZ世代女子に選ばれる理由を深掘りします。
韓国ファッションの勢いが鈍化
2018年から2023年にかけて、NewJeans、IVE、aespaといったK-POP第4世代の女性アイドルグループが世界中で旋風を巻き起こしました。彼女たちの空港ファッションやステージ衣装を真似た韓国ブランドを取り入れるコーディネートは、日本のZ世代の間で大流行しました。韓国ファッションは、日本と比べて手頃な価格で、個性を強調するタイトでセクシーなデザインが特徴的です。この時期には、「DHOLIC」「Stylenanda」「YESSTYLE」といった韓国のECサイトが盛り上がりを見せ、韓国通販で服を購入することが若者たちのトレンドとなっていました。
しかし、昨年頃からその熱は徐々に落ち着きを見せ始め、今年に入って日本のZ世代女子の間では、韓国ファッションブランドへの関心がやや下火になってきているように感じられます。
「The Coach Originals」の現代風リメイクデザイン
「平成ファッション」リバイバルとY2Kブーム
韓国ファッション人気に陰りが見え始めた背景には、「平成ファッションの流行」が考えられます。2022年から2023年頃にかけて、1990年代後半から2000年代にかけて流行したギャルファッションに近い「Y2Kファッション」が再び注目を集めるようになりました。平成時代に人気を博したANAPやGAPのロゴ入りアイテム、ミニスカート、メタリック素材、ローライズデニム、ミニバッグなどが、令和の時代に新たな解釈で復活しています。
このY2Kファッションのリバイバルが、これまでの主流だった韓国ファッションの人気に影響を与えています。もちろん、韓国ファッションが完全に廃れたわけではありませんが、流行の主役が少しずつ入れ替わり始めているのが現状です。
「オールドコーチ」人気の再燃とその魅力
このようなY2Kファッションのリバイバルの流れの中で、2025年現在、特に大きな注目を集めているのが「オールドコーチ」です。オールドコーチとは、アメリカの老舗ブランド「COACH（コーチ）」が過去に販売していたヴィンテージバッグ全般を指します。新品のバッグよりも手頃な価格で購入できる上に、上品さと歴史を感じさせる深みを兼ね備えたデザインがZ世代を魅了しています。特に、2000年代初期に販売されたモデルが人気を集めており、そのレトロで洗練された佇まいは、現代のファッションに新鮮なアクセントを加えています。
Z世代が「オールドコーチ」に惹かれるのは、単に価格の安さだけでなく、その希少性や一点ものの特別感、そして時代を超えて愛されるデザインの普遍性にあると言えるでしょう。これは、流行を追いかけるだけでなく、自分らしい価値観を大切にするZ世代の新しい消費意識を象徴する現象です。
まとめ
近年、Z世代のファッションにおける消費トレンドは大きく変化しています。一時期の韓国ファッションブームが落ち着きを見せる中、平成ファッションのリバイバル、特にY2Kファッションの再燃が顕著になっています。この流れの中で、ヴィンテージアイテムである「オールドコーチ」がZ世代女子の間で爆発的な人気を集めています。手頃な価格でありながら、上品さと個性を演出できる「オールドコーチ」は、現代の若者たちが求める「自分らしさ」と「持続可能性」を兼ね備えたアイテムとして、今後もその存在感を増していくでしょう。
