アメリカのイラン軍事介入判断 トランプ大統領の”迷い”と「2週間」の行方

イスラエルとイランの間で攻撃の応酬が始まってから1週間が経過しました。当初、軍事介入が取り沙汰されていたアメリカは、イランへの「最後通告」を示唆しつつも、その判断について「2週間以内」に決定すると発表しました。このアメリカのイラン軍事介入判断を巡り、トランプ大統領迷いが指摘されています。

アメリカのイラン軍事介入判断とトランプ大統領の迷いを示すグラフィックアメリカのイラン軍事介入判断とトランプ大統領の迷いを示すグラフィック

続くイスラエル・イラン衝突とイスラエルの立場

イスラエル南部住宅へのミサイル攻撃など衝突が続く中、イスラエル軍はイラン核施設への攻撃を続行する構えです。ネタニヤフ首相は「全ての目標を達成すると決断しました。イランの核施設を対象に、我々の力で可能です。トランプ大統領が参加するかは彼自身の判断です」と述べ、アメリカの参戦の有無にかかわらず、自力での目標達成を目指す姿勢を示唆しました。

トランプ大統領の「最後通告」と「2週間判断」表明

一方、「最後通告」を認めたトランプ大統領は、イランとの協議継続に言及しつつ、軍事介入判断を「2週間以内」に決定すると表明しました。ホワイトハウス報道官もこれを「明瞭かつ端的」な声明としつつ、「イラン交渉実現の可能性を踏まえ」た判断だと補足しました。

判断の遅れとトランプ氏の迷いの背景

しかし、過去にも同様の「2週間以内」表明が実行されなかった例が多いことから、今回の軍事介入判断にもトランプ大統領迷いが見られるとの見方が強まっています。その背景に複数の要因が指摘されています。

迷いの要因:側近、共和党、アメリカ・ファースト

19日には、かつて首席戦略官を務め、イランへの軍事介入に一貫して反対してきたスティーブ・バノン氏とホワイトハウスで会食を持ちました。バノン氏は「イラク戦争の二の舞いはご免だ。イスラエルが始めた戦争だ。彼らが終わらせるべきだ」と述べ、アメリカの関与に否定的です。与党・共和党の議員からも軍事介入への反対意見が相次ぎ、トランプ大統領が掲げる「アメリカ・ファースト」政策と整合するかどうかも判断を複雑にしています。

攻撃目標への疑念と今後の焦点

加えて、イスラエルが標的とするフォルドゥ核施設が、アメリカの強力なバンカーバスターを使用しても破壊困難ではないかというトランプ大統領の疑念も報じられています。攻撃の効果に対する不確実性も判断迷いに影響していると考えられています。CNNのケイトラン・コリンズ氏も「大統領は態度を決めかねています…バノン氏らはイランへの攻撃がアメリカ・ファースト政策に沿わないと考えているからです」と分析しており、側近の意向や政策、攻撃効果への疑念などが判断迷いに影響している現状が浮き彫りとなっています。

結論:不透明なアメリカの判断の行方

イスラエルとイランの衝突が続く中、アメリカ軍事介入に踏み切るかどうかの判断は、トランプ大統領迷いによって期限が設けられつつも不透明な状況が続いています。側近や共和党内の反対、「アメリカ・ファースト」の理念、攻撃目標の効果への疑念など、様々な要因が複雑に絡み合っており、「2週間以内」という期限内でどのような結論に至るのか、今後の動向が注視されます。


参考資料