マラウイ、少年への警察の行為は「拷問」 高裁が認定

アフリカのマラウイで、13歳の少年が警察の拘留中に両手を縛られてうっ血し、その後に切断を余儀なくされた件について、高等裁判所が「拷問」と認定した。南部アフリカ訴訟センター(SALC)が20日、発表した。

少年は2024年1月、金銭窃盗の疑いで数日間、警察に勾留された。その際、警察官によって両手をゴムベルトできつく縛られ、血流が滞るうっ血を引き起こし、最終的に両手の切断を余儀なくされる重傷を負った。

マラウイで警察の活動に関連する報道の際に使用される資料写真マラウイで警察の活動に関連する報道の際に使用される資料写真

今年4月、下級裁判所は少年に重傷を負わせた罪で2人の警察官に有罪判決を下した。しかし、マラウイの刑法には拷問を独立した犯罪として規定する条項がないため、この時点では裁判所は警察の行為を「拷問」とは認定していなかった。

少年の訴訟を支援してきたSALCは、高等裁判所が19日に新たな判決を下したと明らかにした。高裁は、警察の「過度の行為は拷問に当たり、残虐かつ非人道的、品位を損なう扱いに該当する。したがって違法かつ違憲と認められる」と判断した。

SALCは今回の高裁判決について、「正義への一歩」と評価した。しかし、拷問そのものに対する刑事訴追は行われていないため、「部分的な勝利」にすぎないとの見解を示している。検察当局はこれまで、このような事件には暴行罪や傷害罪などを適用してきた。これらの罪で有罪となった場合、禁錮14年以下が科される可能性がある。しかし、SALCは、これらの罪名では「拷問や、残虐で屈辱的、非人道的な扱いの深刻さや重大さを十分に捉えているとは言えない」と指摘している。今回の高裁の「拷問」認定は、今後の同様の事案に対する法的判断や、マラウイ国内法における拷問の取り扱いに関する議論に影響を与える可能性がある。

高等裁判所が警察の行為を「拷問」と明確に認定したことは、被害を受けた少年とその家族、そしてマラウイにおける人権保護にとって重要な意味を持つ。しかし、拷問行為に対する個別の刑事罰規定が存在しない現状は、完全な司法判断と責任追及の実現には至っていないことを示している。SALCの見解が示す通り、今回の判決は進展ではあるものの、法制度の整備というさらなる課題が残されている。

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