男女雇用機会均等法が1985年6月に公布されてから40年が経ちました。働く上で性別を理由とする差別を禁じたこの法律は、社会情勢の変化に合わせて繰り返し改正されてきましたが、昇進、配置、採用などにおいて、実質的に性の違いによって不利益を被る人々は依然として存在し続けています。本記事では、職場における性差別の現状について、当事者の声を通して掘り下げます。
昇進・配置における不平等な慣行
「まるで昭和の時代のような職場です」。福岡県内の食品会社に勤めるある女性は、自身の職場で昇進を巡る性差別が根強く残っていると感じています。この会社には給与水準の高い総合職と、それよりも低い一般職があり、総合職の9割以上を男性が占め、女性はごく少数です。約10年前、一般職から総合職への昇格制度が導入されましたが、所属長の推薦が必要で、女性が推薦されるケースはほとんどありません。数年前には、産休と育休を取得した総合職の女性が一般職に降格されるという事案も発生しています。この女性は勤続20年近くになりますが、先輩社員によると、女性の管理職はこれまで一人もいないといいます。十数年前までは、女性に対して結婚退職を迫ったり、総合職に登用しなかったりする慣習さえ存在しました。女性は「それに比べれば少しはマシになったと思うけど」と苦笑しながらも、能力も実績も十分な女性社員がいるにも関わらず、総合職に推薦されない現状に歯がゆさを感じています。「会社には『もう令和の時代ですよ』と言いたいです。法律はもちろん、世の中の状況をもっと学んでほしい」と、憤りを込めて語りました。
職場の多様性と平等に関するイメージ
同じ仕事内容でも男性より低い給与
同県に住む54歳の女性は、2年前に経験した出来事が忘れられません。事務職として30年以上勤務した会社で、入社4年目の製造職の男性よりも自分の給与が低いことを知ったのです。基本給には数万円の差がありました。この会社は家具製造業で、職種は営業、事務職、製造職の3種類です。均等法は募集や採用において、性別を限定することを禁じていますが、この勤務先では営業と製造は男性、事務は女性のみが採用されていました。会社の給与規定では、賃金は業務の重要度などで決定すると記されており、性別や職種、学歴による区別はないとされています。しかし、他の事務職の女性も、後輩の製造職の男性より給与が低い状況でした。この女性は、営業や製造の仕事も手伝っていたため、「隠れた性差別だ」と強い怒りを覚えました。会社の枠を超えて加入できる労働組合「連合福岡ユニオン」に相談したところ、女性であることを理由に賃金を低く設定することは労働基準法でも禁じられているとのことでした。ユニオンの担当者は、「勤続30年以上なのに、なぜ4年目の男性より給与が低いのか。どう考えても男女差別だろう」と首を傾げています。女性は昨年、事業所の統廃合に伴い退職しました。「昼休みの電話や来客の対応も女性がやらされた。結局、そういう意識の会社だったんだなと思います」と、諦めの気持ちを滲ませながら語りました。
まとめ
男女雇用機会均等法が施行されて40年が経過し、法律の改正も重ねられてきましたが、現場レベルでは依然として性差別が根強く残っている実態が、当事者の声から明らかになりました。昇進や配置における不平等、そして給与における不合理な格差は、法律の精神が職場に十分に浸透していない現状を示しています。女性活躍が叫ばれる現代において、これらの課題を克服し、真に平等な職場環境を実現することが求められています。
出典:https://news.yahoo.co.jp/articles/5e85491bf1c72acb0218cfbd8f62ec1d45bb001f