在韓米軍撤収・再編論と国連軍司令部「日本移転説」の現実味

米国の成人向け雑誌『プレイボーイ』1990年3月号には将来の大統領ドナルド・トランプ氏のインタビューが掲載され、今なお高値で取引される。このインタビューに注目したのは、米国防総省に詳しい専門家が「在韓米軍の撤収・縮小は現実的で、トランプ氏は30年考えてきた」と語ったためだ。最近WSJ紙が在韓米軍4500人撤収案を国防総省が検討と報じたが、国防総省は否定。しかし過去には2019年の在韓米軍約4000人撤収報道が否定されつつ、後にトランプ氏の実際の言及が明らかになった経緯がある。「在韓米軍撤収論」は無視できない議論だ。

在韓米軍や日米韓関係に関連するイラスト在韓米軍や日米韓関係に関連するイラスト

将来の在韓米軍態勢と米国の戦略転換

多くの外交専門家や元政府高官は現在、米軍地上軍の削減、空軍・海軍主体の在韓米軍への再編、そして戦時作戦統制権の韓国軍への移譲が進む可能性が高いと指摘する。これは、米軍がアジア太平洋地域における最大の戦略的焦点である中国への抑止に資源を集中させ、北朝鮮の通常戦力による挑発への対応は韓国軍が主導すべきという米国の新しい防衛戦略思想に基づく。米国の新しい国家防衛戦略(NDS)策定プロセスに深く関わった元国防次官クリストファー・コルビー氏も、過去に「米国は北朝鮮との大規模な軍事衝突に関わる余裕はない」「戦時作戦統制権の韓国への移譲に賛成する」と明確に述べており、こうした在韓米軍の役割と構成の見直し論は、米政府中枢に近い関係者からも出ている議論であることがわかる。

国連軍司令部の役割と「日本移転」の可能性

このような文脈において、国連軍司令部が日本に移転するのではないかという噂も、重要な懸念材料として浮上している。現状では、在韓米軍司令官(4つ星大将)が国連軍司令官および韓米連合司令官を兼務している。しかし、もし戦時作戦統制権が計画通り韓国軍に移譲されれば、韓米連合司令官ポストは韓国軍大将が就き、米軍からは副司令官が配置される体制に移行する。これを見越して、トランプ前政権の一部の関係者からは、戦時作戦統制権移譲と同時に在韓米軍司令官の階級を中将(3つ星)に格下げし、現在中将が務めている在日米軍司令官を大将に格上げして国連軍司令官を兼任させるべきだという具体的な再編案が提起されていた経緯がある。

国連軍の多国籍化の進展と日本への影響

米軍は2018年頃から、国連軍司令部の副司令官職をカナダや英国といった国連加盟国に委任するなど、国連軍司令部を在韓米軍とは切り離された「多国籍軍」としての性格を強める運用を進めている。近年ではドイツが国連軍司令部に新たに加入し、国連軍司令部への後方基地機能を提供するという側面での日本のさらなる関与についても具体的な議論が行われている。仮に、こうした流れの中で国連軍司令部の主要機能が日本国内に移転することになった場合、その役割は単に朝鮮半島の有事に対応するだけでなく、より広範なインド太平洋地域における安全保障の枠組みの中核を担う存在へと大きく変貌していく可能性が指摘されている。

結論

第1次トランプ政権下で囁かれ、当初は「まさか」と思われた様々な構想や噂が、結果として現実の政策や動きとして具体化した事例は少なくない。「在韓米軍撤収・再編論」や、それに伴う「国連軍司令部日本移転説」といった議論も、単なる根拠のない観測や噂として軽視することは非常に危険である。これらの可能性が日米韓三ヶ国の安全保障協力体制、ひいては地域の戦略環境全体に与えうる影響は計り知れない。今後の米国における議論や、関連する具体的な動向について、最大限の注意を払い注視していく必要がある。

[出典] Yahoo!ニュース (朝鮮日報日本語版)