イランのアラグチ外相は22日、訪問先のトルコ・イスタンブールでの記者会見で「核拡散防止条約(NPT)はイランを守ることに失敗した。これは深刻な問題だ」と指摘し、米軍によるイランの核施設への攻撃を厳しく非難した。さらに「核の平和利用に関心を持つイランのような国がNPTに頼れるだろうか」とも語り、NPT体制そのものへの不信感を示した。
米国はNPTで核兵器の保有を認められている一方、イスラエルは未加盟のまま核武装しているとされる。アラグチ氏は「核保有国にNPT加盟国のイランが攻撃を受けている。非難しなければ、NPT体制が揺らぐ」と強調。核施設への先制攻撃により「国連憲章やNPTが傷ついた」と訴え、国際社会に対応を求めた。
さらに「外交の扉は常に開かれているべきだが、いまはそのときではない。イランは自衛権に基づき対応せざるを得ない」と述べ、現時点での交渉による解決には否定的な見方を示した。
イランでは今回の攻撃を受け、「NPT脱退」を主張する声も出ており、イラン政府が今後、選択肢として検討する可能性もある。【カイロ金子淳】