[サンクトペテルブルク(ロシア) 20日 ロイター] – ロシアのプーチン大統領は20日、ウクライナでの戦闘がロシア経済に壊滅的打撃を与えて「殺している」との報道に関し、米国人作家マーク・トウェインの言葉を引用して「私の死の報告は大いに誇張されている」と反論した。ロシア経済が成長を続けており、債務残高は低く、経済が多様化していることを経済が強靱な兆候として挙げた。サンクトペテルブルク国際経済フォーラムの閉会式で語った。
プーチン氏は、ロシアの国内総生産(GDP)のうち43%はエネルギーや防衛部門とは無関係な分野が生み出しているとし、経済の多様化に努めていると強調。「私たちの最も重要な任務は、経済をバランスの取れた成長軌道へ確実に移行させることだ」と訴えた。その上で「一部の専門家らは経済停滞や、景気後退のリスクさえも指摘している。これはいかなる状況でも許されるべきではない」と強調した。
3日間開催されたフォーラムでは、ロシア経済の停滞リスクについて激論が交わされた。インフレ率は前年比で9.59%と依然高く、中央銀行目標の4%の2倍を超えている。これに対し、経済発展貿易省はインフレ率が4月下旬から徐々に縮小していると説明している。
中銀は昨年10月、高インフレを抑えるために主要政策金利を2000年代序盤以来の高水準に引き上げたが、今月6日に1%ポイント引き下げて20%にすることを決めた。
これに対し、レシェトニコフ経済発展相は19日、ロシアは景気後退の危機に瀕していると警告し、今後の金融政策の決定がロシアが景気後退を回避できるかどうかを左右すると言及。ノバク副首相は「金利を引き下げ、経済を活性化させる時だ」と中銀にさらなる利下げを要求した。
ロシアの銀行最大手、ズベルバンクのゲルマン・グレフ最高経営責任者(CEO)は20日に「特に心配なのは(中略)国内投資プロジェクト全体の60%弱を融資している銀行最大手の当行が、25年に入ってから新規プロジェクトに1件も融資していないことだ」と語った。
鉄鋼メーカーのセベルスタリの大株主、アレクセイ・モルダショフ氏は、迫り来る信用危機と倒産件数の急増について警告した。25年1―5月の鉄鋼需要が前年同期より14%減ったとして「この冷え込みは今、深刻な問題だ」とし、「現在の金融政策を続けることはこれらの悪影響をさらに悪化させかねない」と問題視した。