文科省調査:中高生の英語力向上続くも目標60%には届かず 2024年度結果

文部科学省は23日、全国の公立学校を対象にした2024年度の英語教育実施状況調査の結果を公表しました。この調査は、中学校および高等学校における生徒の英語力の現状を把握し、政府が掲げる目標達成に向けた進捗を確認するために毎年実施されています。最新のデータから、中高生の英語力は着実に向上していることが明らかになりましたが、依然として目標水準には達していません。

最新の英語力状況

調査結果の詳細を見ると、中学校第3学年において、実用英語技能検定(英検)3級相当以上の英語力を持つ生徒の割合は52.4%でした。これは前年度の調査と比較して2.4ポイントの増加です。高等学校第3学年では、英検準2級相当以上の英語力を持つ生徒の割合が51.6%となり、こちらも前年度から1.0ポイント上昇しました。これらの数値は、学校現場での英語教育の取り組みが進んでいることを示唆しています。

2024年度英語教育調査を発表した文部科学省の庁舎(東京・霞が関)2024年度英語教育調査を発表した文部科学省の庁舎(東京・霞が関)

政府目標と今後の展望

政府は、2027年度までに中学校および高等学校の双方で、英検3級相当以上(中3)および英検準2級相当以上(高3)の英語力を持つ生徒の割合を60%以上とするという目標を設定しています。今回の調査結果は目標達成に向けた進捗は見られるものの、まだ目標水準には届いていない現状を示しています。文部科学省の担当者は、この目標達成に向けて「英語力向上を、さらに加速させたい」と述べており、今後の具体的な施策展開が注目されます。

検定スコアと教員判断の内訳

2024年12月時点の調査では、生徒の英語力評価の内訳も示されています。中学校第3学年で英検3級相当以上の生徒のうち、実際に検定試験で英検3級以上のスコアを取得した生徒は27.8%でした。残りの24.5%は、学校での成績や学習状況などを基に教員が「相当する力がある」と判断した生徒です。高等学校第3学年では、英検準2級以上のスコア取得者が31.8%、教員判断が19.8%でした。この内訳は、実際の外部検定受験率や学校現場での評価基準にも影響を受けると考えられます。

都道府県・政令指定都市別の達成状況

地域別の達成状況には差が見られました。中学校第3学年で英検3級相当以上の割合が最も高かったのは、政令指定都市であるさいたま市で89.2%でした。これに福井県が79.8%、福岡市が65.9%と続いています。高等学校第3学年で英検準2級相当以上の割合は、都道府県別で福井県が61.2%でトップ、東京都が60.5%、京都府が60.2%の順でした。これらの地域は、特に高い水準で英語教育が進んでいると言えます。

今回の文部科学省による2024年度英語教育実施状況調査は、日本の公立学校における英語力向上が着実に進んでいることをデータで示しました。しかし、政府が目指す2027年度の60%目標達成には、さらなる取り組みが必要です。地域差も見られる中で、より多くの生徒が目標とする英語力を習得できるよう、今後の英語教育への支援と改善が期待されます。

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