本当に検査は行われている?
コメ担当大臣として矢継ぎ早に“農政改革”を打ち出し、「次の首相にふさわしい人」のトップを走る小泉進次郎農水相(44)。「小泉米」が彼の人気の源泉となっているのは間違いないだろう。だが、その備蓄米に関して重大な懸念が生じている。それは、備蓄米のカビ検査が本当に行われているのか、という疑義である。農水省は「問題なし」のスタンスを崩さないが、実際、「週刊新潮」が「小泉米」を扱う20社に質問状を送ったところ、3社が事実上回答を拒否するなど疑念は膨らむばかりで……。
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「小泉米」が迅速に供給されたことによって、確かにコメの価格は下落傾向にある。しかし、そのスピードは「拙速」と紙一重のものといえそうだ。速さを求めるあまり、食の安全に関するチェック、すなわち備蓄米のカビ検査(メッシュチェック)が本当に行われているのか、疑義が呈されているのだ。
大手卸関係者が言う。
「これまで政府は、古い備蓄米を放出する場合には必ず、メッシュチェックによるカビ検査を行っていました。古い備蓄米にはカビが発生する可能性があるからです」
カビが発生した玄米はほかの玄米とくっついて塊になる。問題のない玄米は約1センチ四方の網目を2枚交差して重ねたものを通過するが、カビの塊となった玄米は網目に引っ掛かり判別できる。これがメッシュチェックの仕組みである。
「大手卸にすら設備がない」
「週刊新潮」2025年6月19日号では、農水省のHPで〈メッシュチェックを行わずに引き渡すことも可能〉と明記されており、カビ毒検査が事実上、任意となっていると報じた。
この報道に対して農水省はホームページで「任意検査に変えたわけではない」と否定。さらに、〈メッシュチェック等の品質確認を買受者自らが行う場合に限り、国によるメッシュチェックを行わずに引き渡すことも可能〉とホームページの記述を変更した。
しかしながら、果たして買受者側で本当に検査が行われているのか、という点については不透明な部分が残っているのも事実だ。
「“小泉米”では検査の一部が小売業者に委ねられました。しかし本来、検査は政府の管轄です。われわれ、大手卸にすらメッシュチェックの設備がないというのが実情なんです」(前出の大手卸関係者)