『水ダウ』「インディアンス」改名ドッキリが物議、批判の声も上がる背景とは

6月18日に放送されたTBS系バラエティ番組『水曜日のダウンタウン』の企画「インディアンス改名ドッキリ」が、放送後に大きな物議を醸しています。人気お笑いコンビであるインディアンス(田渕章裕、きむ)に対し、「ネイティブアメリカン系のそれっぽい団体」と称するグループが改名を要求するという内容のドッキリ企画でした。

企画の意図と「予防線」に込められたもの

番組内では、「インディアン」という言葉の本来の意味は「インド人、インド人の」であり、アメリカ先住民を指す場合にのみ差別的なニュアンスを含むと補足説明がされました。これは、言葉の使用自体に問題があるわけではないという番組側の意図を示すものでしょう。

さらに、企画の後半にはネイティブアメリカンのシャーマンであるウィンド・レイブン氏が登場。改名に前向きなインディアンスの2人に対し、改名案を提案する場面がありました。その際、ウィンド・レイブン氏はインディアンスという名前について「良い名前だね。私は特に無礼だとは思わない」「彼らがインディアンスと名乗るのは本当に光栄なことだよ」と発言。番組側は、この企画が特定の民族を馬鹿にする意図はないという「予防線」を随所に張っているように見えました。

『水ダウ』「インディアンス」改名ドッキリが物議、批判の声も上がる背景とは水曜日のダウンタウンのインディアンス改名ドッキリ企画からの一場面 (画像はTBSテレビ公式サイトより)

SNSでの批判と「それっぽい団体」の描写への違和感

しかし、この「攻めた」企画に対して、放送後にはX(旧Twitter)上で番組の演出を手掛ける藤井健太郎氏の投稿を引用しながら批判的な声が多数上がりました。「迫害されてきた人々への理解がない」「ネイティブアメリカンが今も虐げられていることを知らないのか」「愚弄でしかなく全く笑えない」といった意見が散見され、デリケートな問題を取り扱ったことへの反発が見られました。

筆者が特に違和感を覚えたのは、「ネイティブアメリカン系のそれっぽい団体」と描写された3人の団員の描き方でした。

過剰な「演出」による「面倒な人間」像

序盤、インディアンスの2人を驚かせるため、団員たちが吉本興業の本社の受付で揉めている様子が映し出されました。その後、インディアンスが舞台出演のために訪れた会場の出入り口付近で、「NO差別」と書かれたプラカードを持ち、インディアンスを威嚇する姿を見せました。

最終的に、その3人組とインディアンスが対面して話し合う場面では、田渕が改名案として「ちょんまげラーメン」と口にすると、団員の男性は「江戸時代っていう時代がこの国にはあって、権力構造、支配の……」と反発。続けて田渕が「おでかけマダム」と提案すると、団員の女性からは「女性の私からすると『おでかけ=マダム』っていうステレオタイプになるんですよ」と指摘が入りました。その後も、彼らは改名案に対して次々と難癖をつけ、インディアンスの2人は追い詰められていきました。

番組を通して、これらの団員たちは終始、「面倒な人間」「屁理屈ばかりの厄介者」という印象を与えるような立ち回りをしていました。バラエティ番組である以上、ある程度の「演出」は理解できます。しかし、社会的な問題提起をする人々や、デリケートな事柄に対して声を上げる人々を、このように一方的に茶化しすぎる描き方は、果たして適切だったのでしょうか。


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