参政党躍進の秘密:専門家が分析する「党員中心」組織の強み

参政党が政治地図の中で存在感を急速に高めている。直近の産経新聞社とフジニュースネットワーク(FNN)による合同世論調査では支持率が上昇し、4位に浮上。さらに、6月22日投開票の東京都議選では初の議席獲得となる3議席を手にしたほか、7月3日公示、20日投開票が決定した参院選でのさらなる躍進にも注目が集まっている。令和2年の結党当初から同党を追う国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏は、「議員ではなく党員が中心の政党であり、組織は公明党や共産党に近い。地道な活動が実を結んでいる」と分析し、「風」だけに依存する政党ではない点を指摘する。

都議選での成果に加え、参政党は6月15日に投開票された兵庫県尼崎市議選(定数42)でも公認候補がトップ当選を果たすなど、永田町に小さくない衝撃を与えている。インターネット上での支持拡大がしばしば取り沙汰されるが、渡瀬氏は「参政党が議席を伸ばしているのは当然の結果であり、既存政党とは全く異なる構造を持っているからだ」と述べ、その組織のあり方こそが最大の特色であると強調する。既存政党については、「議員が中心で、それを支えるために後援会組織があるため、『やらされている』感が否めない。まるで封建領主に仕えるような形式になっている」と解説する。

党員が組織の主役を担う構造

一方、参政党の組織構造について渡瀬氏は次のように説明する。「参政党は党員が中心の組織だ。党員自らが支部を立ち上げ、その支部の中から選挙の候補者を選出する。党員はいわゆる職業的な活動家ではなく、地元の名士やごく『普通の人々』が多い。神谷宗幣代表は政策などの大枠を示したら、ある程度は支部に自由な活動を任せている。党員は支部の運営に深く関与するため、既存政党とは比較にならないほどのやる気と士気を持っている」。

参政党の神谷宗幣代表。党員中心の組織運営を巡る議論の中で。参政党の神谷宗幣代表。党員中心の組織運営を巡る議論の中で。

その上で、渡瀬氏は参政党の組織は公明党や共産党の構造に近いと指摘する。「参政党は党員が基盤となり議員を支えるシステムであり、党員の方が上位に位置づけられている。公明党や共産党も、組織や党が個人(議員)よりも上位にあり、議員が突出して偉いわけではない。公明党は創価学会という強力な支持母体がある点で異なるが、純粋な組織構造としては共産党により近いかもしれない。このような強固な基盤があるからこそ、突発的な『風』が吹いた際にはそれにうまく乗ることができ、他の第三極政党のように風頼みになることを避けられるのだ」。

候補者の擁立状況も、この「党員中心」の組織運営を裏付ける証左だと渡瀬氏は語る。参政党は来たる参院選で、全国45あるすべての選挙区に候補者を擁立する方針だが、これは「党員たちが各地域に存在し、候補者を立てないわけにはいかないという状況があるからだ」と分析している。

参政党の掲げる政策の一つに「日本人ファースト」がある。これもまた、草の根の党員たちが持つ思想や目標を反映したものであると言えるだろう。渡瀬氏の分析は、参政党の躍進が単なる一時的な人気や「風」によるものではなく、その独自の組織構造と地道な党員活動に根差したものであることを明確に示している。

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