漫画家たつき諒氏による「2025年7月に日本で大災害が発生する」という科学的根拠のない予言が、現実社会に波紋を広げています。特に香港からの観光客減少との関連が指摘される中、たつき氏本人が新たな著書を出版し、予言の日付について言及しました。
「私が見た未来」が描くもの
一部で東日本大震災(2011年)を予言したとして注目されたたつき氏は、2021年に出版した著書「私が見た未来 完全版」(飛鳥新社)の中で、自身が見た予知夢の内容を記述しました。それによると、「その災難が起こるのは、2025年7月」であり、「突然、日本とフィリピンの中間あたりの海底がポコンと破裂(噴火)した」ことで、「太平洋周辺の国に大津波が押し寄せ」、その高さは「東日本大震災の3倍」にも及ぶというものです。あとがきでは、夢を見た日が現実化する日という仮定のもと、「次にくる大災難の日は『2025年7月5日』ということになります」と具体的な日付に言及していました。
予言の拡散と現実の影響:香港からの訪日客減少
同書は中国語版も発行され、特に香港では著名な風水師が日本の巨大地震を予言したこととも重なり、日本への旅行を控える動きが出ていると報じられています。日本政府観光局が発表した5月の訪日客数は過去最多を更新する一方で、国・地域別では香港だけが減少しました。これを受け、香港の航空会社は日本路線の一部で夏季の欠航や減便を決定しています。
「7月5日」が近付くにつれ、日本国内でも同書への関心は高まり、飛鳥新社によると電子版を含めた発行部数は106万部を突破しています。東京都内などでは、電車の車内にも書籍の中吊り広告が目立っています。
たつき諒氏の著書『私が見た未来 完全版』の電車内中吊り広告
たつき氏の最新コメント:日付の「軌道修正」と防災意識
自身の予言が広く拡散されている現状について、たつき氏は飛鳥新社を通じてコメントを発表しました。新たな著書では、大災害が起きるという「2025年7月」の予言自体は撤回していません。しかし、具体的な日付としていた「7月5日」については、「何かが起きる日というわけではない」と述べ、以前よりも表現を修正しました。
コメントの中でたつき氏は、読者や世間の高い関心は「防災意識が高まっている証拠」として前向きに捉えているとし、「災害時には少しでもお役に立てることがあれば」と考えていると表明しました。そして、「この関心が安全対策や備えにつながることを願っております」と締めくくりました。
これらの動きは、科学的根拠のない予言が、人々の行動や社会経済に具体的な影響を与えうるという現状を示しています。特に、観光業や地域経済にとっては無視できない要素となっています。予言自体よりも、それに対する人々の反応や社会の動き、そして防災への意識向上という側面が、現実のニュースとして注目されています。