小泉進次郎農林水産大臣(44)は6月25日、能登半島地震の被災地である石川県輪島市を視察しました。農相就任後初の被災地訪問となったこの機会に、小泉氏は「復興はまだ道半ばだが、現場の方から直接課題を聞く良い機会になった。被災地で備蓄米が販売されている状況も確認でき、嬉しく思う」と語り、自身が進める備蓄米放出策「進次郎米」の手ごたえを感じた様子でした。しかし、この視察に関連したSNSでのある投稿が、現在波紋を広げています。
備蓄米放出とその効果
国内での米価格高騰が続く中、小泉農水相は5月26日に政府備蓄米の「随意契約」による放出を打ち出しました。これは従来の競争入札ではなく、価格を定めて大手小売業者に直接販売する方式です。6月上旬から店頭に並び始めたこの米は、5キロあたり2000円程度で提供されています。農林水産省は6月23日、6月9~15日に全国約1000店舗のスーパーで販売された米の平均価格が3920円となり、4週連続で値下がりしたことを発表しました。このことから、随意契約による放出は価格抑制に一定の効果を上げていると見られています。7月に控える参院選においても、米価格や物価高対策は依然として主要な争点となる見込みです。
「無農薬」発言の波紋
輪島市視察中、小泉農水相は棚田として有名な観光名所「白米千枚田」を訪問しました。日本海の斜面に広がるこの棚田は、世界農業遺産「能登の里山里海」の象徴であり、小泉氏自身も田んぼのオーナーを務めています。小泉氏は6月25日に自身のX(旧ツイッター)を更新し、農業従事者らと視察する写真を公開。「白米千枚田を視察。私は田んぼのオーナーで昨年は田植えにも来ました。完全無農薬での稲作を始めた場所を視察しました」と報告しました。この投稿に含まれる「完全無農薬」という言葉が物議を醸しています。
小泉進次郎農水大臣が能登・白米千枚田を視察する様子
農水省ガイドラインとの齟齬
波紋の理由は、農林水産省の「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」において、「無農薬」という表示が禁止されているためです。このガイドラインは農産物の販売表示に適用されるものですが、現職の農水大臣が公然と“禁止用語”を使用したことに対し、SNS上では「農水省が厳しく禁止してる言葉なのになんで使うんだ」「さすがに大臣が『無農薬』呼びはまずい」「ガイドラインの趣旨を踏みにじる発言」といった批判が殺到しました。
農水省の見解と政治的背景
本誌が6月26日に農林水産省に問い合わせたところ、担当者は「無農薬」表示が禁止されている理由について、「意味するところがはっきりしないため。『農薬を全く含んでいない』と誤解する消費者もいる。そのため、『栽培期間中は不使用』といった書き方をお願いしている」と説明しました。小泉氏の投稿での使用については、「(ガイドラインは販売表示に適用されるため)発言自体はガイドラインの対象ではない」との見解を示しました。しかし、小泉氏は6月20日のX投稿でも、一部企業への「利益誘導」にあたるのではないかとの批判を受けるなど、近頃その発言にはヒヤリとさせられる場面が少なくありません。自民党が都知事選で惨敗するなど逆風が吹く中、小泉氏が来るべき選挙戦を無事に乗り切れるのか、注目が集まります。
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