韓国の古都であり、世界遺産にも登録されている慶州(キョンジュ)市で、歴史的な文化遺産である奈勿(ネムル)王陵の近くで男性がゴルフのスイング練習をしているような様子が目撃され、波紋を呼んでいます。慶州市当局は現在、この不適切な行為を行った人物の特定を進めるとともに、法に基づいた厳正な措置を取る方針を固めています。この一件は、文化財保護の重要性を改めて浮き彫りにしています。
事案の詳細と目撃情報
問題の行為が目撃されたのは、6月19日午後のことです。慶尚北道慶州市校洞(キョドン)にある奈勿王陵を訪れていた外国人観光客Aさんが、一人の男性が長い棒を手に持ち、ゴルフのスイング練習のような動作を繰り返している姿を目撃しました。Aさんが撮影した写真には、黒いズボンに白い上着を着た男性が、まさにゴルフを打つ際の姿勢を取っている様子が捉えられています。この光景に驚いたAさんは、同行していた韓国人の友人Bさんに「韓国では王陵のそばでもゴルフができるのか」と尋ねたところ、Bさんは「そんな馬鹿な話があるわけない」と強く否定したといいます。
慶州の奈勿王陵近くでゴルフスイング練習をする男性の様子
市への苦情と当局の対応
外国人観光客Aさんから話を聞いた友人Bさんの母親は、この看過できない行為について翌日、慶州市庁に苦情を申し立てました。これを受け、慶州市は直ちに事態の把握と対応に乗り出しましたが、該当の区域には防犯カメラなどが設置されていなかったため、ゴルフ練習をしていた男性の身元確認が難航している状況です。市当局は、もし身元が確認できた場合、文化遺産保存および活用に関する法律で定められている「管理行為妨害」の規定を適用する方針を明らかにしました。この規定に違反した場合、2年以下の懲役または2000万ウォン(日本円で約213万円)以下の罰金が科される可能性があります。
文化財保護パトロールの強化
慶州市は現在、市内に点在する約290カ所の史跡について、9人体制で巡回パトロールを実施しています。しかし、今回の奈勿王陵での事案発生を受け、市関係者は「今回の事件を契機に巡回パトロールを強化していく」と述べ、文化遺産の保護管理体制を見直す考えを示しました。奈勿王陵は、新羅第17代奈勿王(在位356~402年)の墓であり、1969年に史跡188号に指定され、2011年に現在の名称である「慶州奈勿王陵」に変更されました。慶州市の中心部に位置しており、国内外から多くの観光客が訪れる人気の高い史跡です。
まとめ
慶州の奈勿王陵近くで発生したゴルフスイング練習行為は、貴重な文化遺産に対する配慮を欠いた不適切な行動として、地元当局や市民から問題視されています。慶州市は身元特定に全力を挙げており、確認が取れ次第、法に基づく厳しい措置を取る方針です。今回の事案は、人気の観光地である歴史的な場所においても、訪問者一人一人が文化財保護の意識を持ち、適切な行動を心がけることの重要性を示唆しています。市当局はパトロール体制を強化することで、再発防止に努めていくとしています。
参照元
慶州市、JTBC報道など