自民党の二人の重鎮、麻生太郎最高顧問と菅義偉副総裁のバトルが話題だ。
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財務省も廃止には消極的
政治部デスクが解説する。
「先日、麻生氏が主宰する勉強会が訪日外国人の消費税免税制度の廃止を求める提言書を党に提出した。主な理由は出国前に免税品を転売して利益を得る不正が後を絶たないこと、制度廃止で2000億円以上の税収が確保できることです」
日本国民が物価高で苦しむ中、外国人観光客は消費税がゼロ。そんな不公平感や、全国の観光地が悩むオーバーツーリズムの解消にも役立ちそうだが、
「菅義偉元首相が反対しているんです。安倍晋三政権の官房長官時代から“観光立国”を掲げて、インバウンド政策の旗振り役になってきましたからね」
国内の免税店は家電量販店やドラッグストアを含めて6万店超。菅氏は免税品の対象拡大も推進した過去があるだけに、免税制度廃止は「菅氏のレガシーを否定する」との見方もある。
「所管する財務省も廃止には消極的です。来年11月から免税品の転売防止策として、出国時に購入品の国外持ち出しを確認したうえで支払った消費税を還付する“リファンド方式”を導入する予定ですから」
自民党関係者も困惑
吉田茂元首相を祖父に持つ名門出身の麻生氏と、横浜市議出身でたたき上げの菅氏。二人は安倍晋三政権で要職を担いながら、折に触れて対立してきた。
「いまも不仲説は根強く、先の勉強会で事務局長を務める麻生派所属の中西健治衆院議員は、ボス(麻生氏)の言い分を代弁するように“リファンド方式はシステム投資がかさむ”“不正が巧妙化する”と主張。一方で財務省寄りの宮沢洋一税調会長は、菅氏と歩調を合わせるように“導入停止は簡単ではない”と強く反発しています」
自民党関係者も困惑気味。
「平成27年に食料品の税率を低くする消費税の軽減税率導入を巡り、菅さんが公明党と創価学会の意向をくんで導入を主張すると、財政規律を重視する麻生さんが反対した。翌年に麻生さんが消費税率の10%への引き上げを求めると、今度は菅さんが公明党と組んで反対したことがありました」