小泉進次郎農林水産大臣は2025年6月25日、石川県輪島市の棚田「白米千枚田」を視察した際、自身のX(旧ツイッター)アカウントで「完全無農薬での稲作を始めた場所を視察しました」と投稿し、波紋を呼んでいます。この「無農薬」という表現が、農水省が定める表示ガイドラインと整合しないのではないかとの指摘が出ているためです。
小泉大臣は投稿で、棚田の美しい写真と共に「白米千枚田を視察」「完全無農薬での稲作を始めた場所を視察しました」と報告。「美しい棚田から、新たなお米の誕生…期待!」とコメントしました。さらに、「私は田んぼのオーナーで昨年は田植えにも来ました」と個人的な関わりも明かしています。
小泉進次郎農水大臣が石川県輪島市の白米千枚田で視察する様子
問題視されているのは、「完全無農薬」または単に「無農薬」という表現です。農林水産省が定める「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」では、消費者が「一切の残留農薬等を含まない」と誤解する恐れがあり、優良誤認を招くため、この表現の使用を禁止しています。
ガイドラインでは、農薬を使用していない農産物に対しては、「農薬:栽培期間中不使用」と正確に記載する必要があるとされています。「農薬未使用」や「農薬を使ってません」といった表現は使用が可能です。
大臣のX投稿は、商品を販売する際の表示を定めたこのガイドラインの直接的な適用範囲外とみられます。しかし、農水大臣自身が省のガイドラインで禁じられた表現を用いたことに対し、X上では「農水大臣自ら発するのは問題」「知らなかったとしても訂正すべき」といった批判的な声が複数上がっています。
白米千枚田での視察時に話す小泉進次郎農林水産大臣
今回の小泉農水大臣によるX投稿は、日本の農業における表示の正確性、特に「無農薬」という言葉の持つ消費者への影響に関する議論を改めて引き起こす形となりました。公的な立場にある人物の発言が、省庁の定める基準といかに整合性を保つべきかという点が問われています。