白石隆浩死刑囚(34)に対し、神奈川県座間市で男女9人を殺害した事件に関する死刑が、6月27日に執行された。2017年に事件が発覚すると、その手口の残忍さや被害者の多さから、社会に極めて大きな衝撃を与えた。白石死刑囚は、SNSで自殺願望を投稿していた15歳から26歳の男女を狙い、自宅アパートに誘い出して殺害したとされる。強盗強制性交殺人などの罪に問われ、2021年に死刑が確定していた。わずか2か月間に女性8人、男性1人の命が奪われたこの凶悪事件の犯人、白石死刑囚は一体どのような人物だったのか。ノンフィクションライターによる複数回の面会記録から、その異様な内面の一端がうかがえる。
座間9人殺害事件で死刑が執行された白石隆浩死刑囚
拘置所での日々 面会で明かされた「素顔」
拘置所での白石死刑囚の日々の様子は、複数回にわたる面会の中で語られている。彼は、食事が主なストレス解消法だと明かし、中でも「カップヌードル・ミニに七味唐辛子を入れて辛くして食べるのが最近のマイブーム」と語っていたという。さらにお湯の供給時間が決まっているため、待ちきれずに「水ヌードル」も試したことがあると述べるなど、その話は極めて日常的だった。食事の他に、絵を描いたり写経をすることも時間の経過を早く感じさせる手段であり、彼にとって無為な時間こそが最も苦痛だったことがうかがえる。
事件に関する夢は「不思議なくらい見ない」供述
面会の中で睡眠や見る夢についての話題になった際、白石死刑囚は「夢はたくさん見る」と述べた上で、直近で見た夢がかつてのアルバイト先での作業風景だったと具体的に語った。興味深いのは、彼が自身の犯した座間9人殺害事件に関する夢を「不思議なくらい、見ない」と明確に否定した点である。この供述の真偽は定かではないが、面会したノンフィクションライターは、その時の彼の表情から嘘や虚勢を感じることはなかったと記している。
結び
社会に深い傷跡を残した座間9人殺害事件の犯人、白石隆浩死刑囚の刑が執行された。短い拘置所生活の中で行われた面会からは、凶悪犯としてのイメージとはかけ離れた日常の断片や、事件との向き合い方(あるいは向き合わなさ)を示すような供述が引き出されている。死刑執行という形で事件は法的に終結したが、なぜこのような事件が起きたのか、犯人の内面はどうなっていたのかという根源的な問いは、今後も多くの人々の関心を集めるだろう。
参考文献
- Yahoo!ニュース / 文春オンライン: 白石隆浩死刑囚の刑執行 座間9人殺害 拘置所での素顔「水ヌードルも始めた」「事件についての夢は見ない」ノンフィクションライターの面会記録より (2024年6月27日 掲載) – https://news.yahoo.co.jp/articles/ad24b130f8d3d7f5a354ada7ef0232e7a43fb79e