歌舞伎を舞台に運命に翻弄される若者たちを描いた映画『国宝』。主演の吉沢亮と横浜流星がカンヌで明かした撮影秘話とお互いへの思いとは?
5月に開催されたカンヌ国際映画祭2025の「監督週間」でワールドプレミアされた、李相日監督『国宝』。歌舞伎界を舞台に、運命に翻弄される天才役者の人生を描いた壮大な人間絵巻は、日本映画の伝統を継承する作品としても注目された。
吉田修一の同名の小説を原作とする本作だが、映画版では、任侠の家に生まれながらも、歌舞伎界でその才能を武器にのし上がる喜久雄と、歌舞伎の名門に生まれた御曹司・俊介の複雑な関係が主軸となって物語が展開する。喜久雄を演じた吉沢亮と俊介を演じた横浜流星。日本映画界の若手実力派として絶大な人気を誇るふたりが、映画祭が開催された南仏カンヌでインタビューに応じてくれた。
『国宝』、カンヌで世界初上映──映画に込めた想い
――カンヌ国際映画祭で『国宝』がワールドプレミアされることに、どのような期待を抱いていますか?
吉沢亮(以下、吉沢。敬称略): 観客の方がどう受け取ってくださるかというのがまず気になります。勝手なイメージとして、カンヌは静かな映画が好まれる印象があります。なので、こういうエンターテイメントに寄った、しかも結構感情の起伏も激しい作品が、カンヌの映画ファンの皆さんにどのように届くのか、不安でもあるし楽しみでもあります。
横浜(以下、横浜。敬称略): 「監督週間」という部門があることを、『国宝』の上映が決まるまで存じ上げなかったんです。どういう部門なのか資料を読んだら、「作家性のある監督が紹介される」というようなことが書いてあった。まさに李監督は、日本映画の中でも作家性の強い監督なのでふさわしいな、と。『国宝』は、作家性だけじゃなく、エンタメ要素もある作品。日本の伝統文化である歌舞伎を題材にした人間ドラマが、カンヌの観客にどのように響くのか、純粋に楽しみです。観て下さった方の声もぜひ聞いてみたいと思います。