米国防総省は26日、イランの核施設3カ所を標的とした長時間にわたる爆撃任務の準備に関する詳細を公表しました。ヘグセス国防長官は、米軍が遂行したこの爆撃を「歴史上最も秘密裏に行われた、最も複雑な軍事作戦」と形容し、その一端が明らかになりました。
極秘の対イラン爆撃作戦について記者会見するヘグセス国防長官(左)とケイン統合参謀本部議長
ペンタゴンが明かした「史上最も複雑」な作戦の詳細
午前中の状況説明は、ヘグセス国防長官に続きケイン統合参謀本部議長が行いました。トランプ大統領が爆撃によりイランの核開発計画が「消え去った」と主張していた点について、今回の会見でこれを裏付ける新たな情報は提供されませんでした。
ケイン氏は、これまで公表されていなかった爆撃機の搭乗員に関する詳細や、米軍全体が実施した広範な準備について明らかにしました。同氏によれば、標的に使用した爆弾の設計には非常に多くの専門家が参加し、ある時点では専門家らの作業のためにスーパーコンピューターの使用時間が全米で最大規模になることもあったといいます。爆撃任務にあたり37時間飛行した搭乗員には、空軍ならびにミズーリ州空軍に所属する大尉から大佐までの男女が含まれ、大半がエリート養成機関として知られる空軍兵器学校の卒業生でした。
初めて実戦使用された大型貫通爆弾「バンカーバスター」
任務は計画通りに進み、初めて実戦で使用された重さ3万ポンド(約13.6トン)の大型貫通爆弾「バンカーバスター」も想定通り機能したと、ケイン氏は述べました。
説明中にケイン氏が流した動画は、ある種の掩蔽壕(えんぺいごう)らしき物体を爆弾が貫通する様子を捉えていました。オレンジ色の光が施設の側面に見える通路の出入り口から照射され、続けて巨大な火球が映ったと報告されています。
イランの報復に備え、約44人の兵士と地対空ミサイル「パトリオット」の発射装置2基が、近くの基地防衛任務に就いたことも明かされました。
核開発への影響評価と残る課題
国防総省からは攻撃計画にまつわる新たな情報が複数提供されたものの、イランの核開発に与えた影響に関する新たな証拠は示されませんでした。ケイン氏とヘグセス氏は、その点に関して疑問があれば情報機関に尋ねるよう促しました。
両氏からのコメントは、3カ所ある標的のうちフォルドゥの核施設に関するものに集中しており、残る2カ所の標的、ナタンズとイスファハンの核施設への言及は限定的でした。これらの施設が受けた被害の全容は依然として不明です。ケイン氏は、戦場における被害の評価を下すのは統合参謀本部ではなく情報機関の役割だと示唆しました。
ヘグセス氏はこれまでと同様、イランの核開発計画が「消え去った」とするトランプ氏の主張を擁護しましたが、記者からは爆弾投下後の数時間でトランプ氏がそのような結論に至った経緯を問われたものの、それについての回答は避けました。その上で、現在統合参謀本部や情報機関と共にあらゆる評価を行っているところだと説明し、爆撃任務が実際に成功を収めたと確定するためには、そうした評価が必要になるとの認識を示しました。
結論
米国防総省による今回の発表は、極秘裏に行われた対イラン爆撃作戦の技術的・運用的な詳細を明らかにする一方で、最も重要な点であるイランの核開発計画への実際の効果については依然として不明瞭であることを示唆しています。今後の情報機関による評価が待たれます。
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