増える「高齢パパ」の現実:49歳で父になった男性が語る人生と子育て

日本では今、妻との間に初めての子どもが生まれた男性のうち、45歳以上である割合が増加しています。この割合は、20年前の「67人に1人」から「23人に1人」へと大幅に増加しました(厚生労働省「人口動態統計」2003年、2023年報に基づく集計)。アラフィフ、つまり40代後半から50代にかけての子育てと聞くと、「経済面でも体力面でも大変だろう」と否定的に捉える人も少なくありません。しかし、実際にこの時期に「パパデビュー」した男性たちは、どのような日々を送り、何を感じているのでしょうか。本連載では、45歳以上の高齢で初めて父親になった男性たちのリアルな子育てライフに焦点を当てます。第6回目となる今回は、49歳で第1子を授かった剱持さん(61歳)にお話を伺いました。

49歳でのパパデビュー、そして「毒親」だった父

取材にご協力いただいた剱持雅宣さん(61歳)は、現在、ご自身が運営する結婚相談所で婚活カウンセラーとして活動しています。13年前に7歳年下の奥様と結婚し、その翌年に待望の長男が誕生しました。今では「とても幸せです」と笑顔で語る剱持さんですが、過去には複雑な思いを抱えていた時期がありました。「父は今でいう『毒親』でした。父の教育が、良くも悪くも僕の人生に大きな影響を与えたのは確かです」と彼は振り返ります。

61歳、高齢パパとして幸せを語る剱持雅宣氏61歳、高齢パパとして幸せを語る剱持雅宣氏

剱持さんがアラフィフで父親になるまでの人生は、父からの強い影響と切り離しては語れません。彼の父は昭和一桁生まれで、早稲田大学を卒業後、独学で英語を習得し、40代でクーパース&ライブランド(現PwC)の総務部長に転身。晩年は経営コンサルタントとして成功を収めました。父は非常に支配的な性格で、特に教育に関しては絶対的な考えを持っていました。

父が押し付けた「学歴至上主義」という価値観

剱持さんは男ばかりの3人兄弟の長男として育ちました。「父は私たちが幼い頃から『まず国立の旧七帝大を目指すのが当然で、それが難しかった人が早稲田や慶應に行く。それが標準だ』と、まるで呪文のように繰り返し言い聞かせてきました」と剱持さんは言います。幼い剱持さんは、勉強もスポーツも得意だったこともあり、父の言うことが絶対だと思い込み、疑うことなくそのレールの上を進むものだと考えていました。

49歳でパパとなり、小学生の息子と休日を過ごす剱持さん49歳でパパとなり、小学生の息子と休日を過ごす剱持さん

しかし、中学3年生になり、いざ受験シーズンを迎える頃から、彼の人生は予期せぬ方向へと大きく変わり始めることになります。その変化が、その後の彼の道のり、そして49歳で父親となるという選択にどのように繋がっていくのか、その詳細は次回の記事で触れる予定です。

まとめ

本記事では、現代日本において増加傾向にある45歳以上の「高齢パパ」という現象に焦点を当て、その一例として49歳で初めて父親となった剱持雅宣さんの導入部分をお届けしました。彼の人生は、支配的で学歴至上主義だった父親の影響を強く受けながらも、結婚相談所の運営や婚活カウンセラーとしての活動を経て、アラフィフでの子育てという新たな局面を迎え、「今はとても幸せ」と語るに至ります。統計データが示す社会的な変化の背景には、一人ひとりの多様な人生の物語があります。

参考文献

  • 厚生労働省「人口動態統計」2003年、2023年報
  • Yahoo News / Toyo Keizai Online (掲載記事)