低年収、非モテ、孤独といった従来の「弱者男性」の定義を超え、今や“普通の男性”の間でも「自分は弱い存在だ」と感じる人が急増しています。この広がる負の感情の正体は何なのか、そしてそれが高市政権への高い支持率にどのように結びついているのか。本稿では、男性たちの心に巣食う「弱者感」の呪いの正体に迫ります。
「弱者感」とは、自分が社会の中で「劣っている・取り残されている・報われない側にいる」と感じる主観的な感覚です。実際の地位や収入、能力に関わらず、相対的な劣位感、無力感、疎外感を感じる心の状態を指します。
高市政権が示す驚異的な支持率の背景
JNNが11月1~2日に実施した調査によると、自民党全体の支持率が28.9%に留まる中、高市内閣への支持率は驚異の82%という高水準を記録しました。この数字の裏には、多くの「弱者感を抱えた男性」の存在があると、長年各政党を取材してきたノンフィクションライターの窪田順生氏は指摘します。
窪田氏は、「年収500万~600万円で結婚し子供もいるなど、決して困窮・孤立しているわけではない、むしろ“強者”の立場にありながら、『虐げられている』と感じる層が増加している」と語ります。現代の日本は物質的な豊かさを実現し、精神的な豊かさへと目が向く成熟した社会です。しかし、物価高による可処分所得の減少、街に溢れる外国人、そして日本固有の土地や水源が隣国の富裕層に買われているという報道が繰り返されることで、漠然とした危機感だけが煽られている状況です。このような社会情勢が、「普通の男性」たちの心に「弱者感」を植え付けているのです。
「弱者感」を抱える男性たちが「日本初の女性首相」に最後の希望を託す様子
広がる被害者意識と保守的な主張への傾倒
頑張っても精神的な豊かさが満たされない中、被害者意識は広がりを見せています。窪田氏によれば、「弱者感を抱えた男性たちは教養があり、情報に投資する金銭的余裕もあるため、SNSなどの扇動に影響されやすい傾向がある」といいます。自分たちの力ではどうにもならない不安を前に、「何か大きな力が邪魔をしている」と架空の敵を作り上げてしまうのです。
そして、「誰かこの状況を打開してほしい」という嘆きにも似た他責思考の中で、シンプルで強い言葉を使う保守的な主張は彼らに魅力的に映り、多くの人が吸い寄せられていきました。先の参院選で参政党が大勝した背景にも、同様の心理が作用していると考えられます。ただし、この保守的思想の強化が、必ずしも完全な右翼化を意味するわけではないという点も重要です。
まとめ
高市政権への高い支持率は、単なる政治的選択以上の深層心理を映し出しています。それは、経済的・社会的な変化の中で「弱者感」を抱え、漠然とした危機感と被害者意識に苛まれる多くの日本男性が、現状を打破してくれる強いリーダーシップを求めていることの表れです。この「弱者感」という“呪い”の存在は、今後の日本政治の動向を読み解く上で不可欠な要素となるでしょう。





