イランとイスラエルの戦闘終結を受け、ペイマン・セアダット駐日イラン大使が27日、東京都内で毎日新聞のインタビューに応じた。停戦の背景に自国の防衛力と国民の結束を挙げる一方、イスラエルの攻撃により多数の死傷者が出たことにも触れて「これ以上の犠牲者を出さないことも重要だった」と述べ、事態の沈静化に期待を示した。
両国の軍事衝突は、イスラエルが13日にイラン中部のウラン濃縮施設などを空爆したことをきっかけに発生。イランも報復し、応酬が激化する中、22日には米国がイランの核施設3カ所を攻撃した。
セアダット氏は、イスラエルと米国の一連の攻撃を国際法違反と非難。イラン側の反撃については「国連憲章で認められた自衛権に基づく正当な対応だった」と述べ、自国の「勝利」を強調した。
イスラエルがイランの体制転覆を狙っているとの指摘に対しては、「誰にもイランの誇りや尊厳を奪うことはできない。『弱体化した』という主張には賛同できない」と反論。そのうえで、国際社会が脅威とみなす核開発については、「あくまで平和利用が目的だ」と繰り返し訴えた。
また、セアダット氏は、トランプ米大統領が米軍によるイランの核施設攻撃を広島と長崎への原爆投下になぞらえて「戦争を終結させた」と主張したことについて、「被爆者の心の傷を理解しておらず、言語道断で恥ずべき発言だ」と強く非難した。
自身が8月に開かれる平和式典に出席する予定であることも明かし、「広島や長崎では、多くの人が原爆で血を流し、何世代にもわたって苦しんできた。武力によって平和がもたらされることは決してない。国際法を無視した侵略行為を非難すべきだという強いメッセージを発信したい」と述べた。【古川幸奈、飯田憲】