安野貴博氏の妻、路上で襲われる 新党結成の政治活動背景に暴力か

新党「チームみらい」を結成し、夏の参院選に向け準備を進める安野貴博党首の妻、黒岩里奈さんが先ごろ、都内の路上で男に襲撃される事件が発生した。この男は、安野氏がSNSで発信した政策に関する内容に反発し、犯行に及んだ可能性が指摘されている。もし政治的主張への抗議が、その家族への暴力という形で示されたのだとすれば、これは明白な政治テロと言わざるを得ないだろう。黒岩さんはこの事件について、6月26日に警視庁に被害届を提出し、受理されている。

「安野の妻か」問いかけからの突然の襲撃

事件は6月23日の夕方、東京都内で起きた。黒岩さんが用事を済ませ、自宅へ向かう途中の歩道でのことだった。背後から男に「安野の妻か?」と問いかけられたという。黒岩さんは昨年行われた東京都知事選で安野氏の選挙活動を積極的に支え、多くの支持者や関係者に知られた存在だった。問いかけに対し黒岩さんが「はい、そうです」と答え、振り返ろうとしたその瞬間、男は黒岩さんの背中を強く突き飛ばし、彼女は地面に倒れた。

現場は車道に面した歩道で、日没前後の薄暗い時間帯ではあったが、比較的見通しの良い場所だった。黒岩さんを押し倒した後、男はさらに倒れた彼女のそばで罵声を浴びせたという。

暴言と政治的非難、そして立ち去り

男は黒岩さんに対し、「お前らみたいなのが日本をダメにする」「差別主義者」「ナチスなんだよ!」などと叫び、それ以上の物理的な暴行を加えることなくその場から立ち去ったとされる。黒岩さんは、振り向こうとした際に一瞬だけ男の顔を見ているが、見覚えのある人物ではなかったという。倒された後は、恐怖から目を合わせないよう顔を伏せていた。動転していた状況ながらも、男が40代から50代くらいに見え、リュックサックを背負い手ぶらだったこと、そして連れはいなかったという程度の記憶はあるとのことだ。この襲撃により、黒岩さんは膝を擦りむいたり、内出血を起こしたりする軽傷を負った。

政治活動への反発が家族を標的に

今回の事件の深刻さは、安野氏への反発が背景にあるとすれば、その標的が政治家本人ではなく家族に向けられた点にある。黒岩さんの友人は、「政治活動をしていれば、批判的な声があるのは当然です。黒岩さんもこれまで、安野が推進するAI活用に反対する人から暴言を浴びた経験はあります。しかし、今回の物理的な襲撃は、それとは次元が全く異なります」と語っている。

新党『チームみらい』代表 安野貴博氏と襲撃被害に遭った妻 黒岩里奈氏新党『チームみらい』代表 安野貴博氏と襲撃被害に遭った妻 黒岩里奈氏

安野氏を巡っては、事件の6日前の6月17日に、石破茂内閣の医療保険制度に関する方針を一部肯定的に捉えた自身のX(旧Twitter)への投稿が、大きな反発を招いたばかりだった。「チームみらい」の関係者は、「SNSでの批判の中には、すでに削除されたものもありますが、安野氏に対して『差別主義者』『優生思想』『ナチス』といった人格攻撃の言葉が多数見受けられました。これらの攻撃的な書き込みには、100万単位のインプレッションが付くこともあったのです」と証言している。

まとめ

新党代表である安野貴博氏の妻が路上で襲撃された事件は、政治活動への反発が家族に向けられた可能性のある、極めて深刻な事態である。被害者は軽傷を負ったものの、事件の背景にあるとされる政治的動機、特にSNSでの激しい批判との関連性は、「政治テロ」の様相を呈している。警察は被害届を受理し、捜査を進めている。政治家本人だけでなく、その家族にまで向けられる暴力は、民主主義社会における言論や活動の自由を著しく侵害する行為であり、その動向が注視される。