1997年の連載開始以来、世界中で絶大な人気を誇る漫画『ONE PIECE』。累計発行部数は5億部を超え、「漫画界の聖書」とも称される本作の大きな魅力の一つに、張り巡らされた「伏線」が挙げられます。数年、時には数十年もの時を経て回収される伏線は、読者に大きな驚きと感動を与えてきました。今回は、特に読者を唸らせた衝撃的な伏線回収を5つ厳選してご紹介します。
空島編とジャヤに隠された驚きの繋がり
『ONE PIECE』の世界の謎に深く関わる多くの伏線が散りばめられているのが、2002年から展開された「空島編」です。物語は、麦わらの一味が空島へ向かう直前に立ち寄った、謎の島「ジャヤ」から始まります。ここでルフィたちが出会うのが、黄金郷を探し続ける探検家、モンブラン・クリケットです。彼は、黄金郷「シャンドラ」を目撃したと嘘をついたために迫害された英雄、モンブラン・ノーランドの子孫であり、海岸線に沿って家が半分だけ存在する奇妙な場所に住んでいました。
この家の謎は、一味が空島に上陸した際に明らかになります。空島の聖地「アッパーヤード」(神の島)で、地上のジャヤの「失われた半分」を発見したのです。実は、アッパーヤードとジャヤの一部は、400年前に発生した巨大な海流「突き上げる海流(ノックアップストリーム)」によって空へと飛ばされていたのでした。
また、クリケットがノーランドの言葉として信じていた「髑髏の右目に黄金を見た」という言葉も、決して嘘ではなかったことが判明します。地上にあるジャヤの残りの部分と、空島にあるアッパーヤードを合わせると、巨大な「髑髏の形」になるからです。黄金郷シャンドラは、この髑髏の右目に位置していました。物語の終盤、ルフィがシャンドラにある黄金の鐘を鳴らしたことで、空島の実在とノーランドの潔白がクリケットたちに証明されます。これは読者にとっては数年越しの回収ですが、クリケットにとっては400年もの悲願達成であり、非常に感慨深い瞬間となりました。
人気漫画『ONE PIECE』の主人公、ルフィが描かれたイメージ画像。長年の伏線回収が読者の感動を呼んでいる。
ロジャーの碑文と古代文字の謎
空島のアッパーヤードで発見された「歴史の本文」(ポーネグリフ)に刻まれていた、海賊王ゴール・D・ロジャーの碑文も、長年読者の間で大きな謎でした。古代文字で記された「我ここに至り この文を最果てへと導く」という言葉は、ロジャーが何を意味していたのか、多くの憶測を呼びました。しかし、物語がワノ国編に進み、967話「ロジャーの冒険」において、古代文字の読み書きができる光月おでんがロジャー海賊団の一員だったことが判明。このおでんが碑文を書き加えた人物であることが明らかになり、16年越しの謎が解明されました。これは、ロジャーがおでんと共にポーネグリフを読み解き、最果ての島ロードスターまで到達したことを示す重要な証拠となり、物語の核心に迫る伏線回収と言えます。
月へと向かった強敵エネルのその後
空島編でルフィたちの前に立ちはだかった、ゴロゴロの実の能力者である神(ゴッド)・エネルも、その後の動向が読者の間で話題となった伏線の一つです。雷に変身する圧倒的な能力で一味を苦しめたエネルでしたが、唯一の弱点であるゴム人間(ルフィ)に敗北。その後、彼は一人で自身の故郷である「月」へと旅立ちます。そこでエネルは、なんと太古の遺跡と、そこに描かれた地球外の文明、さらには古代兵器の存在を示唆する壁画を発見します。
エネルが月で辿った運命と発見は、『ONE PIECE』の世界観を宇宙規模へと広げ、最大の謎とされる古代兵器や「空白の100年」に関わる可能性を示唆しています。作中屈指の強敵として描かれたエネルが、敗北後に物語の根幹に関わる重大な発見をしていたという展開は、多くの読者にとって衝撃的でした。
エネルの再登場を待ち望む声は非常に多く、彼が発見した月の文明や古代兵器の秘密が、今後の物語にどう絡んでくるのか、さらなる伏線回収に期待が集まっています。
このように、『ONE PIECE』には過去の描写が後の展開に繋がる緻密な仕掛けが数多く存在します。これらの伏線回収こそが、読者を長年惹きつけ続ける大きな要因であり、物語への没入感を深めています。今後の展開で、さらにどんな驚きの伏線が回収されるのか、目が離せません。
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