高市早苗首相がドナルド・トランプ米大統領(当時)に対し見せた一連の外交姿勢が、日本共産党の志位和夫衆院議員から「異常な対米従属」と痛烈に批判される中、落語家の立川志らく氏がこの批判に対し反論し、大きな注目を集めている。この論争は、日本の外交のあり方、特に米国との関係性について、国民の間で活発な議論を呼んでいる。
高市首相の“トランプ接待外交”と志位氏の厳しい批判
事の発端は10月28日の日米首脳会談で、高市首相がトランプ大統領とともに専用ヘリコプター「マリーンワン」に同乗し、神奈川県横須賀市の米海軍横須賀基地へと移動したことから始まる。横須賀基地に停泊する原子力空母「ジョージ・ワシントン」上で行われたトランプ大統領の演説に、高市首相は飛び入りで参加。トランプ大統領から「この女性は勝者だ!」と紹介されると、米兵らを前に右の拳を掲げ、笑顔で飛び跳ねるパフォーマンスを披露した。さらに、今回の会談で高市首相はトランプ大統領をノーベル平和賞に推薦する意向を伝えたとされている。
この一連の動きに対し、日本共産党の志位和夫衆院議員は10月29日に自身のX(旧Twitter)を更新し、高市首相の外交姿勢を厳しく非難。「こんなものは外交でも何でもない。異常な対米従属やめ、自主独立の日本への転換が今こそ必要だ」と主張した。志位氏はさらに、「米原子力空母で米兵を前に大軍拡を誓約し、飛び跳ねてはしゃぐ。ガザへのジェノサイドで血塗られたネタニヤフを軍事支援で支えてきた人物をノーベル平和賞に推薦する。正視に堪えない卑屈な媚態だ」と述べ、高市首相の行動を「卑屈な媚態」と断じた。
落語家・立川志らく氏の「気難しい大物に気に入られる芸当」論
志位氏のこの投稿に対し、落語家の立川志らく氏が自身のXで反論の口火を切った。志らく氏は志位氏のポストを引用しつつ、「いやいや、仰りたいことはわかりますが、あんなに気難しい、ある意味面倒な大統領があそこまで喜んだんだ。ヨイショしまくりで情けないとか色々難癖はつけられるけど、気難しい大物に気に入られるのって大変なんだ。誰でも出来る芸当じゃない」と、高市首相の外交手腕を評価した。
志らく氏は、今回の外交について「今回はまず仲良くなること。石破さんみたいに会見が終わったらエスコートもされず、置いてかれちゃうより遥かにいい。今後、国益を損なうようなことになったらその時批判すればいい」と述べ、まずは相手との良好な関係構築が重要であるとの見方を示した。自身の経験として、師匠である故・立川談志氏に気に入られることも「ぼんやりしていたわけじゃない」と語り、高市首相の行動を単なる「媚態」と切り捨てることに異論を唱えた。
落語家の立川志らく氏、高市早苗首相の外交姿勢について発言
さらに志らく氏は、「共産党がもし同じ立場になったらトランプ大統領に対してどういう対応を取るのか教えてほしい。それを言わないとなんでも反対する党と言われちゃう。さぞ素晴らしい対応をするはずです」と、共産党の外交戦略に対する皮肉を投げかけ、論争は一層白熱した。
広がる共感の声と外交評価の行方
立川志らく氏の投稿に対し、コメント欄には多くの共感の声が寄せられた。「政権を取ることなんて10000%無いから好きなことが言えるんです」「いつも外国人と仲良くしろとデモまでやってるのに、仲良くしたら媚びてるとか、はしゃぎすぎとか文句ばかり言う」「まさにおっしゃる通り。批判するなら『私ならこうした』までセットでないと」といった意見が相次ぎ、志らく氏の主張に同調する世論の存在が浮き彫りになった。
政治担当記者によると、共産党の反米姿勢は党是のようなものであり、志らく氏の問いかけに具体的に答えることはないだろうと見られている。今回のトランプ大統領の訪日では、共同宣言や共同記者会見は行われなかったため、この外交が「成功」か「失敗」か、現時点では結論づけるほどの明確な要素はない、というのが実情だ。
しかしながら、この論争は日本の外交姿勢、特に日米関係における適切な距離感と表現について、国民が深く考えるきっかけとなった。高市首相の示した外交スタイルに対する評価は分かれるものの、今後の日本の国益に資するかどうか、その行方には依然として高い関心が寄せられている。
参考文献
- Source link
- 日本共産党 志位和夫 公式Xアカウント
- 立川志らく 公式Xアカウント





