公明党、連立離脱1ヶ月で「野党色」鮮明化:高市政権への批判と創価学会内部の反応

公明党が自民党との連立を離脱し、日本維新の会との連立によって高市政権が発足してからおよそ1ヶ月が経過した。高市政権の滑り出しは順調に見えるものの、公明党、そしてその強固な支持母体である創価学会は現状をどのように捉えているのだろうか。奇しくも11月15日は、創価学会の第3代会長として政治進出を本格化させた池田大作氏の三回忌にあたる。本稿では、連立離脱後の公明党内部の変化や創価学会員の生の声、そして高市政権に対する公明党のスタンスについて掘り下げる。

創価学会内部の声:長年の連立に「潮時」、若い世代の変化

創価学会の主要な担い手である女性部からは、長年にわたる自公連立に対する複雑な思いが聞かれる。神奈川県で飲食店を営むある女性部員は、電卓を置く手を休め、次のように語った。「26年間、自公連立でやってきて、もう潮時だと思っていました。自民党の裏金問題などで、公明党がとばっちりをずっと受けてきたからです。衆院や参院では、公明党の非常に優秀な人材が落選してしまったこともありました。」

この女性はこれまで積極的に公明党への投票を呼びかけてきたが、内部の変化も感じているという。「力が及ぶ範囲で投票をお願いしてきましたが、最近では学会員でも若い世代が公明党に入れなくなってきていると感じます。中には立憲民主党に投票したという声も聞かれます。」こうした意見は、創価学会内部でも連立離脱を前向きに捉え、新たな政治的立ち位置を模索する動きがあることを示唆している。

公明党の斉藤鉄夫代表が野党としての姿勢を鮮明に公明党の斉藤鉄夫代表が野党としての姿勢を鮮明に

高市政権の支持率と公明党元県議の視点:「ご祝儀相場」と「人気取り」

高市政権の支持率は各メディアの調査で軒並み高水準を記録しており、JNNが11月1日と2日に実施した世論調査では、2001年以降の小泉純一郎内閣に次ぐ82.0%を記録した。しかし、公明党の元県議はこうした高支持率を冷静に分析する。「発足してまだ1ヶ月余りですから、『ご祝儀』のようなものでしょう。日本初の女性首相という話題性も大きい。高市首相を含む閣僚の給与カットをアピールする法案で、人気取りに走っているように見えます。」

連立離脱から1ヶ月が経ち、公明党は野党としての立ち位置を模索している。「これまで『自公』と一括りにされてきましたが、『自公』という名の政党はない。別れてスッキリしたというのが正直な感想です。最近は報道でも公明党の中道政治や政策がクローズアップされるようになったのは喜ばしいことです。」と元県議は語り、自民党と一線を画すことの意義を強調した。

野党としての公明党:斉藤代表が高市首相を厳しく批判

公明党は野党としての存在感を明確にし始めている。公明党の斉藤鉄夫代表は11月5日、高市首相に対する代表質問で、その姿勢を厳しく批判した。斉藤代表は「歴代首相と比べても、多様性の尊重、格差や孤独に寄り添う姿勢、包摂的な社会作りへの決意が薄い」と指摘。この批判的な発言はメディアでも大きく取り上げられ、公明党が単なる「連立を離れた旧与党」ではなく、高市政権に対する明確な対抗軸として位置付けられつつあることを印象付けた。

連立離脱から1ヶ月、公明党は野党としての新たな道を模索し、支持母体である創価学会内部からも変化の兆しが見え始めている。高市政権との対立軸を明確にし、中道政治の存在感を高めようとする公明党の今後の動向に、引き続き注目が集まる。