「ティッピング・ポイント」超新版:社会変化の法則と橘玲氏の視点

マルコム・グラッドウェル氏の世界的ベストセラー『ティッピング・ポイント』が25年を経て新版に生まれ変わりました。『超新版ティッピング・ポイント』では、小さな変化が爆発的な流行や大きな流れを生む「転換点」の法則を再考察しています。この著作について、ベストセラー作家の橘玲氏は解説で、現代社会を動かす「裏の三原則」と、自身が「最も考えさせられた矛盾」が示されていると指摘します。

マルコム・グラッドウェル氏の肖像。『ティッピング・ポイント』著者の姿。マルコム・グラッドウェル氏の肖像。『ティッピング・ポイント』著者の姿。

25年前、世界に希望を与えた「流行の法則」

「ティッピング・ポイント」の初版が世に出たのは、新世紀を迎えた2000年のことでした。ジャーナリスト、マルコム・グラッドウェル氏の処女作は瞬く間に全米ベストセラーとなり、世界的な評判を呼びました。本書が解き明かしたのは、水が水蒸気に変わるような「相転移」、すなわち小さな変化がある臨界点を超えると、突然大きな変化を引き起こすという「ティッピング・ポイント」の概念です。

20世紀後半に進んだ社会や自然の理解は、「複雑系のスモールワールド」というものでした。株式市場で個々の投資家の判断が相互に影響し合い、統計的にはあり得ない暴落や暴騰を引き起こすことや、日本の航空路線図における羽田や関空のようなハブ空港のように、影響力が均等ではなく偏っている「べき分布」の構造がその例です。

グラッドウェル氏は、こうした爆発的感染の背景にある仕組みを「少数者の法則」「粘りの要素」「背景の力」という三原則として提示。この明快なストーリーテリングが多くの読者を魅了しました。それは著者自身が語るように、「希望に満ちた時代の空気にぴったりの希望に満ちた本」だったからです。これらの原則を活用すれば、ビジネスでの成功や社会的なムーブメントを起こすことも可能であるかのように思われたのです。

『超新版ティッピング・ポイント』の書籍カバー。社会変化の転換点を示す新刊。『超新版ティッピング・ポイント』の書籍カバー。社会変化の転換点を示す新刊。

四半世紀を経て全面的に書き直された『超新版ティッピング・ポイント』は、同じ「転換点」を扱いながらも、より現代社会の複雑さと向き合う視点を提供します。橘玲氏が注目する「矛盾」も、この新たな視点から生まれる示唆に富んだ問いかけと言えるでしょう。

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