元タレント田代まさし氏の長男タツヤさん(42)は、薬物依存症に苦しむ父との向き合い方を模索し続けてきました。父が二度目の服役を終えリハビリ施設に入ったのを機に、タツヤさんは薬物依存症について深く学び、当事者家族として父との関係を再構築。「いまは父といい距離感」と語る彼が、SNSで依存症の情報を発信する中で直面する誹謗中傷、そして「本人と家族が依存症を認めて、初めて前向きになれる」という彼の切なる願いを紐解きます。
薬物依存症と向き合う田代まさし氏の長男タツヤさん
「もうやっちゃだめだよ!」では届かなかった想い
2004年に覚醒剤で二度目の逮捕となり実刑判決を受けた田代まさし氏。2008年の出所後、タツヤさんは父を救いたい一心で懸命に寄り添いました。「もう(覚醒剤を)やっちゃだめだよ!」と、励ますつもりで言葉をかけ続けましたが、そのわずか2年後、まさし氏は再び覚醒剤で逮捕され、服役することになります。この事実にタツヤさんは大きなショックを受け、父を突き放してしまいました。
父の変化と「薬物依存症」への理解
しかし、まさし氏は二度目の服役を終えた後、初めて自身を「薬物依存症」だと認め、リハビリ施設「ダルク」に入所。自身の経験を講演会で語るなど、依存症者の支援活動も開始しました。この父の大きな変化を目の当たりにしたタツヤさんも、薬物依存症について自ら調べ、関係者から話を聞くなどして学びを深めます。「依存症は、治療が必要な病気だということ。薬物に何度も手を出してしまうのは、本人の意思の問題ではないのだということを初めて知りました」と、タツヤさんは語ります。
回復に向かう田代まさし氏と長男タツヤ氏、良好な関係性を示す親子
厚生労働省が示す「家族への大切なこと」
厚生労働省が公開している「ご家族の薬物問題でお困りの方へ(家族読本)」には、薬物依存症を抱える家族への重要な指針が示されています。そこには、「家族がいくらやめさせようとして叱ったり、ご褒美をあげるなどの努力をしても、原因は薬物依存という障害だから、改善にはつながらない。逆にイライラした当事者が、『薬物をやってスッキリしたい』と考える悪循環に陥る恐れがある」と明記されています。その上で、家族に大切なこととして「依存症について学ぶこと」「適切な対処を学ぶこと」などを挙げています。タツヤさんがかつて父に寄り添い、諭し続けた「もうやっちゃダメ」という言葉は、実は逆効果だった可能性も示唆されています。事実、まさし氏も当時、それがストレスだったことをタツヤさんに打ち明けています。
田代まさし氏の長男タツヤさんの経験は、薬物依存症が「病気」であり治療が必要だという認識の重要性を強調します。当事者だけでなく、家族が依存症について正しく学び、適切な支援方法を身につけることが回復への第一歩です。タツヤさんの「本人と家族が依存症を認め、初めて前向きになれる」というメッセージは、多くの人々に希望をもたらすでしょう。
参考文献:
- Yahoo!ニュース: 「励ますつもりが逆効果」田代まさし氏の長男タツヤさんが語る薬物依存症との向き合い方 (2025年10月27日)
- 厚生労働省: ご家族の薬物問題でお困りの方へ(家族読本)




