元タレント田代まさしさんの長男・タツヤさん(42)は、覚醒剤に溺れて2度逮捕されたまさしさんを救おうと、そばに寄り添った。だが、再犯という形で裏切られ、「悲しみと怒りで感情がぐちゃぐちゃになった」時期を過ごした。時を経た今、タツヤさんは父が「薬物依存症」であることを認め、依存症者の家族として、当時とは違う距離感で父を見守っている(全2回の1回目)。
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「お父さんが逮捕された。マスコミが大挙しているから家には帰らないように」
2001年、タツヤさんが高校1年の冬のことだった。学校が終わる午後3時台だったか、まさしさんの所属事務所から、そう携帯に電話がかかってきた。
報道で、覚醒剤の使用だと知った。それから約2カ月の間、事務所が用意した都内のホテルに滞在し、学校に通った。妹はまだ小学生だった。
■休みには一日中遊んでくれた
まさしさんは、子煩悩だった。タツヤさんが小学生のころは、仕事が多忙を極めていたにもかかわらず、数少ない休みには一日中遊んでくれた。
仕事仲間との宴席も多かったが、まさしさんは途中で切り上げ、家に帰ってきてくれていた。
「全力で遊んでくれて、困っているとスーパーマンみたいに助けてくれて、ダメなことは強くしかってくれる父でした」
■逮捕の3年前からイライラ
だが、そんなまさしさんには、逮捕の3年ほど前から“異変”が起きていた。
家に帰ってくると、いつもイライラしたようすで、すぐにキレて怒鳴ったりするようになった。母とのケンカも増えた。
母と妹は次第に本気でおびえるようになった。タツヤさんは2人を守ろうと間に入ったが、「自分自身も恐怖を感じていた」と、当時を振り返る。
「なぜ家庭がこんなことになってしまったのか、なにも原因がわからない。父の奇行がエスカレートしていくという現実が、ただ目の前にありました」
まさしさんが逮捕され、報道で覚醒剤の使用を知ったとき、「父がおかしくなってしまった、その謎がやっと解けた」と感じた。





