旧安倍派に所属していた加田裕之参院議員(55)が、長年の支援者との間で約2000万円に上る高額な借金トラブルを抱えていることが分かった。「週刊文春」の報道によると、加田氏は弁護士を立てて支援者側と交渉し、借金の分割返済を始めたという。既に発覚している政治資金の裏金問題に加え、新たな金銭疑惑が浮上した形だ。
加田議員の経歴と裏金問題の背景
加田氏は2003年4月の県議選で初当選後、4期を務め、2019年に参院議員に初当選した現在1期目の議員である。来る7月3日公示の参院選兵庫選挙区に現職として出馬を予定している。「参院当選後の2021年10月には、岸田文雄政権で1期目ながら法務大臣政務官という要職に就きました」(自民党関係者)。しかし、自民党派閥の政治資金パーティー収入を巡る裏金問題で加田氏も躓いた。旧安倍派に所属していた加田氏は裏金の該当者とされ、販売ノルマの超過分として3年間で計648万円の還流を受けながら、これを政治資金収支報告書に記載しなかった。この問題により、参議院政治倫理審査会などで釈明に追われることになった。
金銭トラブルが報じられた旧安倍派所属・加田裕之参院議員の顔写真
長年の支援者との金銭トラブル発覚
裏金問題に加え、加田議員は別の深刻な金銭問題も抱えていたことが明らかになった。前出の自民党関係者は「実は加田議員は、長年の支援者の男性から、借金を重ねていました。ところが、なかなか返済しなかった。その後は、弁護士を立てるトラブルに発展してしまったのです」と明かしている。この支援者であるAさんが「週刊文春」の取材に応じた。Aさんは「2003年に初当選した県議選から、要請があると選挙のたびに資金を貸してきました」と、長年にわたり加田氏を経済的に支援してきた経緯を語った。しかし、最近の加田氏の地元への姿勢や裏金問題の発覚を受け、「もう信頼することができません」と不信感を露わにした。
弁護士を介した交渉と借金の分割返済
Aさんが2021年以降、複数回にわたって加田氏に対し返済を強く要求し続けた結果、加田氏は2024年に入り、弁護士を立ててAさんと交渉するに至った。この交渉の中で、加田氏側はAさんに対する「残債務」が「2000万円」に上ることを正式に認める返答を行ったという。その後、ようやく借金の分割返済が開始されたと報じられている。「週刊文春」が加田氏の事務所に事実関係を質問したところ、代理人弁護士が書面で返答した。借金の額については「ご指摘のあった各借入金は、いずれも個人としての借入金」であることを認め、経緯や返済については「A氏との間では、感情の行き違いなどもあり、数年来、断続的にやり取りを続けて参りましたが、弁護士を介しての交渉の上、現在は定期的に借入金の返済を行っております」と回答した。
支援者の募る不信感と説明責任
一方で、支援者のAさんは加田氏側の対応に依然として納得していない様子だ。取材に対しAさんは、「政治家にとって一番大切なのはお世話になった地元なんです。問題は、支援者や区民ら支えてきた人々にどう映っているかなんですよ」と、地元からの信頼失墜を強く懸念していることを訴えた。さらに、「再三尋ねても、お金の使途や処理について説明がないんです」と述べ、借金の具体的な使途や返済計画について加田氏からの十分な説明がないことに対する不満を表明した。政治家としての説明責任が果たされていない点に、Aさんの不信感は募っている。
現在配信中の「週刊文春 電子版」では、加田議員を長年支えてきたAさんによる「怒りの告白」の詳細が掲載されている。また、借金の経緯を示す実際の帳簿や契約書の存在についても詳しく報じられている。