夏の参院選は事実上の「政権選択選挙」となる。政権与党は過半数を維持できるのか。政治ジャーナリストの角谷浩一氏と青山和弘氏が全選挙区の情勢を分析した。第1回は、北海道から関東地方までの「当落予測」とともに詳報する。
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角谷 東北は全体的に現職が堅そうですね。
青山 自民は東北で弱いですからね。今、小泉進次郎農林水産大臣が5キロ2千円台の備蓄米を大放出していて、農家の間ではコメ価格の下がり過ぎに不安感が広がっています。それも米どころの東北において自民候補への逆風になりかねません。自民がギリギリ勝てるとすると、森雅子元法務大臣が出馬する福島くらいでは。
角谷 山形の自民候補は、過去に県知事選や参院選に出馬している大内理加氏ですが、いずれも結果が出ておらず、今回が最後の挑戦でしょう。
青山 埼玉は4人区ということで、自民・立憲・公明・国民で確定。ほぼ無風だと思うのですが。
角谷 私は国民ではなく共産の候補が通るのではとみていて、共産の△は、○寄りの△です。共産は重点区では確実に議席を取る姿勢で、伊藤岳氏についてはかなり力を入れているようなので、十分勝負できるはずです。
青山 激戦なのは、やはり東京です。私は、自民の武見敬三氏、立憲の奥村政佳氏、国民の奥村祥大氏、維新の音喜多駿氏、参政のさや氏を当落線上に置きました。音喜多氏に関しては、知名度を生かしてよほど伸びればという条件付きの△ですね。
■牛田氏は演説があまり上手ではない
角谷 私は、武見氏とれいわの山本譲司氏と国民の牛田茉友氏がすべり込むのではないかとみています。山本氏は出馬表明が遅れたとはいえ、れいわは東京が大票田で底力があります。牛田氏は当初は注目度が高かったものの、元アナウンサーながら演説があまり上手ではない。正直判断が難しいです。
青山 前厚生労働大臣の武見氏は73歳と高齢で、もう引退するとみられていました。空いた枠は(元自民党幹事長の)石原伸晃氏が狙っていましたが、結局武見氏が出ることになった。自民の候補者が不足している感は否めません。
※「第2回」に続く
(聞き手・構成/AERA編集部・大谷百合絵・秦 正理)
大谷百合絵,秦正理