参院選を目前に控え、自由民主党は、報道各社の世論調査で参政党が急速に支持率を伸ばしている現状に強い危機感を抱いている。特に、これまで自民党の「岩盤支持層」とされてきた保守層が離反し、参政党へと流れているのではないかという見方が背景にある。
読売新聞社が6月27日から29日にかけて全国で実施した世論調査の結果は、この懸念を裏付けるものとなった。同調査において、参政党の政党支持率は前月から4ポイント増加し5%に達し、立憲民主党(6%)に迫る勢いを見せた。一方で、自民党は2ポイント減の23%、国民民主党は6ポイント減の5%となっており、参政党が両党、特に自民党の支持層の一部を取り込んでいるとの分析が出ている。
参政党の主張と浸透
参政党は主要な公約として「行き過ぎた外国人受け入れに反対」を掲げている。また、「日本人ファースト」を強く訴え、インターネットを駆使した独自の情報発信で存在感を示してきた。今年6月の東京都議会議員選挙では、この戦略が奏功し、3議席を獲得するという実績を挙げた。
自民党の危機感と分析
こうした参政党の台頭に対し、自民党内からは警戒の声が上がっている。自民党幹部の一人は、参政党の主張が「排外主義につながる可能性があり、日本の国力低下を招きかねない」と指摘し、その政策スタンスに懸念を示している。
参政党の支持率に関する懸念が報じられた自由民主党本部
さらに、参政党が参院選の全選挙区に候補者擁立を計画していることも、自民党にとって無視できない脅威となっている。特に、改選定数が1議席のみで、与野党の熾烈な争いが繰り広げられる「1人区」において、参政党が一定の票を奪うことになれば、全体の過半数争いに影響を及ぼす可能性があるためだ。首相周辺からも、「これだけの支持を集めているのは脅威だ」との認識が示されている。
参政党の戦略的な動き
参政党は6月30日、日本維新の会を離党した梅村みずほ参院議員を、参院選比例代表の公認候補として擁立することを発表した。梅村氏の入党により、所属国会議員数が合計5人となり、公職選挙法に定められた政党要件を全て満たすことになった。
これにより、テレビなどの各党討論会への出席機会が増えるなど、メディアへの露出が増加すると見られている。参政党の神谷代表は30日の記者会見で、「インターネットを見ない世代もいる。こうした機会を通じて、広く政策や存在を知ってもらい、支持を拡大したい」と述べ、今後の党勢拡大への意欲を示した。
結論
報道各社の世論調査で示された参政党の支持率急伸は、自民党にとって無視できない脅威となっている。特に保守層の動向と、参院選の「1人区」における票の行方が注目される。参政党は政党要件を満たし、メディア露出の機会を増やすことで、さらなる支持拡大を目指す構えであり、今後の政治情勢にどのような影響を与えるか注視が必要である。
出典: Yahoo!ニュース – 自民、参政党の支持率急伸に危機感 保守層離反に懸念(読売新聞オンライン)