日々の仕事や活動において、体のコンディションはパフォーマンスに直結します。特に昼食の時間は、午後の活動に大きく影響を与える重要な要素です。慌ただしく済ませがちな昼食ですが、少しの工夫で自律神経を整え、疲労回復や集中力向上につなげることができます。今回は、メディア出演も多数の「名医」が提唱する、疲れない体を作るための昼食の取り方をご紹介します。ランチの習慣を見直すことで、心身ともに充実した毎日を目指しましょう。
好きなものを「ゆっくり」味わって食べる
美味しいものを楽しんで食べることが、体を内側から整える基本です。食べたいものを我慢したり、「体にいいから」と嫌いなものを無理して食べたりすることは、かえってストレスの原因となります。このストレスは、体の内側からにじみ出る素敵なオーラや、心身のパフォーマンスに直結する腸内環境を乱すことにつながります。好きなものを心から味わって食べる習慣を続けると、体が自然と「必要な量」を理解するようになり、結果として体型をキープしやすくなったり、自分にとってのベスト体重になったりすることが期待できます。
美味しそうなランチを前に笑顔の女性のイメージ。自律神経を整える食事の重要性を示唆。
食事は単に生命維持に必要なエネルギーや栄養を摂取する行為だけでなく、仕事や人生を豊かにし、モチベーションを高める大切な時間です。油っぽいものや甘いものが好きな場合でも、完全に断つ必要はありません。「腹七分目」を目安に、食べたいものを楽しむのが最も効果的です。そして、ゆっくりと「よく噛む」ことを意識しましょう。噛めば噛むほど唾液が多く分泌され、この唾液には若返りホルモンとも呼ばれる「パロチン」が含まれています。食事を楽しく味わうことで、自然とバランスの取れた食事を体が求めるようになります。同じ食事にお金をかけるなら、「量」よりも「質」を重視して、一口一口を大切に味わいましょう。
食事の前に「コップ1杯の水」を飲む
食事の前にコップ1杯(約100ml)の水を飲む習慣は、食後の眠気や疲労感を軽減する効果が期待できます。これは、水を飲むことで副交感神経の働きをコントロールしやすくなるためです。食事中は消化吸収のために体が活発になり、交感神経が優位になりますが、食後に消化器官が急に動き出すと、今度は副交感神経が優位な状態に「一気に急転換」します。この急激な変化が、食後の強い眠気を引き起こす主な原因の一つです。食事の前に水を飲むことで、胃結腸反射が誘発され、あらかじめ腸の動きを活発にしておくことができます。これにより、食事の前から副交感神経がある程度高まり、食事中の交感神経の急上昇を和らげ、食中から食後にかけて徐々に副交感神経が高まるように促すことができるのです。
特に午後に重要な会議や集中したい仕事がある日は、この方法が非常に有効です。食前に水を飲むことに加え、「ゆっくり食べる」ことを組み合わせることで、自律神経の急激な転換を防ぎ、食後すぐに活動的に動ける体を作ることができます。
腹六〜八分目の量を「よく噛んで」食べる
お腹いっぱいに食べすぎると、消化・吸収のために大量の血液が胃腸に集中し、相対的に脳への血流が不足してしまいます。これが、食後に頭がぼうっとして仕事に集中しにくくなる原因です。これを防ぐためには、量を少し控えめに抑えることが重要です。目安としては「腹六〜八分目」が良いでしょう。
健康的なランチプレートのイメージ。腹八分目を意識したバランスの良い食事を示唆。
たとえ腹六分目であっても、「よく噛んで」ゆっくりと食べることで、十分な満足感を得られ、パワー不足を感じることはありません。また、食べる順番にも気を配ることで、血糖値の急激な上昇を抑え、眠気を軽減する効果が期待できます。理想的な食べる順番は、まず「生野菜」などの食物繊維が豊富なものから始め、次に肉や魚などの「タンパク質」、そして最後に「炭水化物」を摂取することです。この順番で食べることで、体の負担を減らし、食後もスムーズに仕事に戻れる状態を維持できます。
昼食の時間は、単なるエネルギー補給だけでなく、午後のパフォーマンスと自律神経のバランスに深く関わる重要な休息と準備の時間です。「好きなものをゆっくりと味わう」「食前に水を飲む」「腹八分目を意識し、よく噛んで食べる」といったシンプルな習慣を取り入れることで、食後の眠気やだるさを軽減し、一日を通して高い集中力と活力を維持することが可能になります。名医が提唱するこれらの食習慣は、特別な努力を必要とせず、誰でも今日から実践できるものばかりです。ぜひ日々のランチタイムを見直して、心身ともに健やかな状態を保ち、充実した毎日を送りましょう。
参考資料
- 小林弘幸『オトナ女子の不調をなくす自律神経整え方BOOK』(SBクリエイティブ)
- Yahoo!ニュース(元記事:DIAMOND Online) https://news.yahoo.co.jp/articles/1d90212af264b1a5b8d32a0a90f2231149d848bf