日本で暮らす在留外国人は2024年末時点で過去最高の376.9万人を記録しました。増え続ける「外国人の隣人」に対し、誤解や不安を抱く人もいるのが現実です。本連載では、様々な事情で母国を離れ日本で生活する人々の実態に迫ります。第4回は、日本のアニメ業界で働くミャンマー出身のピョピョ・ヤダナさんにお話を伺いました。本記事は、前編『専門学校は60人中48人が外国人、「漆黒の現実」を見たミャンマー人女性』の続編です。
日本のアニメ業界で奮闘するミャンマー出身の女性、ピョピョ・ヤダナさん
専門学校での「激減」と厳しい現実
アニメ業界で働くことを夢見てミャンマーから来日したピョピョさんは、日本語学校を経てアニメ専門学校へ。同級生60人中48人が外国人という環境で、どのグループにも馴染めず「ぼっち」が続き、精神的に病んでいたと言います。それでも2年次に進級すると、同級生の数は激減しました。授業の厳しさや、スキル差が明確になり「この業界は無理だ」と判断して別の進路を選ぶ人が増加したためです。最終的にクラスメイトは卒業時に約20人に。これはアニメ業界のシビアな現実を示すものです。ピョピョさんは、スキルへの自信よりも「ここまで来て、これほどお金をかけて、諦められるか」という強い思い一つで留まることを決意しました。
日本のアニメ制作で使用される、ピョピョ・ヤダナさんが手掛けた緻密な背景画
「花形」アニメーター職と「激務」の背景美術
その後、ピョピョさんの就職活動が始まりました。目標は背景専門のアニメスタジオです。同級生のほとんどはキャラクター中心のアニメーター職を志望しましたが、こちらは業界の「花形」とされる一方、「激務」で知られています。キャラクターの表情や動きを表現するため膨大な枚数を描き、連続撮影で滑らかな動作を実現するアニメーターの仕事は、CG導入が進むとはいえ依然過酷な現場です。「アニメ業界はブラックだ」という認識を代表するような職場環境も少なくありません。ピョピョさんが背景美術を選んだのは、単なる適性だけでなく、業界の労働実態を理解した上での戦略的な選択だったのかもしれません。
結論
ミャンマー出身のピョピョ・ヤダナさんの経験は、日本のアニメ業界における夢と厳しい現実、そして外国人材が異国で道を切り開く挑戦の深さを示しています。彼女の物語は、在留外国人を取り巻く状況への理解を促し、日本社会と産業における彼らの貢献と課題への一層の関心を呼びかけるものです。
Source link: Yahoo!ニュース