自民党の麻生太郎最高顧問、岸田文雄前首相、茂木敏充前幹事長による会食が毎月のように報じられています。通常、非公開で行われるはずのこうした会合が、当事者からの情報リークによって事前に察知され、記者による撮影などが常態化している現状があります。三氏に共通するのは、石破政権下で影響力を維持したいという思惑ですが、これが世間にどこまで通じるのか、その効果は未知数です。朝日新聞は6月30日、三氏が同日夜に東京都内の日本料理店で会食したと報じました。参院選の情勢などについて意見交換が行われたとみられます。2021年に発足した岸田政権で中枢を担い、「三頭政治」とも称された三氏ですが、岸田氏主導の派閥解散や昨秋の総裁選対応などを巡って意見の対立があり、確執も生まれています。石破政権発足後、三氏での会食は今回で3回目。今年3月からは月1回程度のペースで定例化していますが、三氏間の溝は完全には埋まっていないのが実情です。
会食を終え店を後にする麻生太郎氏、岸田文雄氏、茂木敏充氏 (写真:ヤフーニュース/新潮)
会食の定例化と茂木氏の焦燥
政治部デスクによると、この定例会食の日程や場所に関する情報は、茂木氏サイドから積極的に記者に伝えられているとのことです。幹事長を退いた現在、茂木氏にとって「取り上げてもらうことこそが全て」であり、このメンバーでの会食は自身の存在感を示すために不可欠だと考えられます。茂木氏は他の二人とは異なり、首相経験がありません。首相になりたいという強い意欲を隠さない姿勢が見られますが、昨年の自民党総裁選では9人の候補者中6位という結果に終わり、世論における人気は低いとされています。
今年で70歳を迎える年齢も、茂木氏の焦る気持ちを一層募らせる要因でしょう。自公与党の弱体化が進む中で、自民党総裁が必ずしも首相になれない状況が現実味を帯びてきたことも、彼が政治情勢に対して焦りを深める背景にあるようです。
岸田氏の再登板への思惑と旧岸田派の現状
前首相である岸田文雄氏もまた、再登板への焦燥感を抱いているとされています。岸田氏は再び首相の座を目指すため、一度解散したはずの旧岸田派を基盤として政治活動を展開したい考えです。しかし、旧岸田派は元々、党内で主要派閥とまでは言えない規模であり、仮に再結集したとしても党内での影響力は限定的であるとみられています。
定期的な会食を通じて連携を維持しようとする三氏ですが、茂木氏の次期首相への強い意欲や岸田氏の再登板への思惑、そして過去の確執といった個別の事情や埋まりきらない溝が、その関係性の複雑さを物語っています。石破政権下での彼らの動向は、今後の自民党、ひいては日本の政治を占う上で注目されます。