韓国のオンライン上で、幼い子どもへの接し方を巡る論争が活発化している。見知らぬ大人が子どもに触れることに対する保護者の反応が厳しくなっていることが発端だ。特に、伝統的な感覚を持つ高齢者と現代の若い保護者との間で、世代間の認識の違いが浮き彫りになっている。
この論争のきっかけとなったのは、ソウル市内の大型スーパーで起きた出来事だ。買い物をしていた60代の女性が、カートに乗っていた4〜5歳ほどの女児に目を留めた。「パーマをかけたの?髪がきれいね」と優しく声をかけながら、その子の頭に手を伸ばしたという。
しかし、この行動に対して女児の父親は即座に反応した。「触らず見るだけにしてください」と強い口調で制止したのだ。女性は驚いて謝罪したが、父親は何も言葉を返さず、首を振ってその場を立ち去ったという。
帰宅後、女性が夫にこの一件を話すと、「最近はそういう時代じゃない。よその子どもに気軽に触ると非常識と思われる」と諭されたという。女性は「田舎育ちの私としては、昔は知らない大人が子どもを可愛がって頭をなでる光景は当たり前だった。自然に出た行動なのに、あそこまで厳しくされるとは想像もしていなかった」と、変化した社会の常識に戸惑いを隠せない様子だ。
スーパーで買い物をする親子のイメージ
この出来事がオンライン上で共有されると、ネットユーザーの間では賛否が分かれ、活発な議論が巻き起こった。子どもの安全やプライバシーを重視する立場からは、「子どもを突然触られるのは親として嫌な気持ちになる」「コロナ禍を経て、以前よりも人との接触に慎重になるのは当然だ」「時代に合わせて、子どもへの接し方に関する常識をアップデートする必要がある」といった意見が多く見られた。他人の子どもに無許可で接触することへの抵抗感が強まっている現状がうかがえる。
一方、親切心や伝統的なコミュニティのあり方を重んじる立場からは、異なる見解も示された。「自分も子育て中だが、可愛いと言って頭をなでてもらえると、むしろ嬉しく感じる」「悪気のない知らない高齢者なら、頭ごなしに怒るのではなく、優しく教えてあげればよかったのではないか」といった声も上がった。これは、子育てが地域社会全体で行われていた時代の感覚や、好意的なコミュニケーションとしてのスキンシップを捉える見方と言える。
今回の韓国での論争は、子どもを取り巻く環境や社会規範が大きく変化している現代において、異なる世代間での価値観や常識のズレが顕在化した事例と言えるだろう。
参考資料:
- KOREA WAVE/AFPBB News (Source link)