10代のAIコンパニオン利用実態調査:恋愛から日常会話まで多様なニーズ

最新の調査結果から、アメリカの10代の間でAIコンパニオンが日常の生活に深く浸透している実態が明らかになりました。デジタルな友人と会話を交わし、時に深刻なアドバイスを求め、さらには「恋愛」のスキル習得にまで活用している若者も存在します。AIがティーンエイジャーの社会生活にどのような影響を与えているのか、詳細を見ていきましょう。

10代の若者がAIコンパニオンと日常的に交流する様子。デジタルフレンドとのコミュニケーションが広がる社会を示唆。10代の若者がAIコンパニオンと日常的に交流する様子。デジタルフレンドとのコミュニケーションが広がる社会を示唆。

AIコンパニオンの驚くべき普及率と日常的な利用

非営利団体コモン・センス・メディアが実施した調査では、アメリカ全土の13歳から17歳の1060人の若者を対象に、AIコンパニオンの利用状況を詳細に尋ねました。この調査におけるAIコンパニオンは、「パーソナライズされ、有意義な会話ができるように設計されたデジタルな友人やキャラクター」と定義されています。

回答者の72%が一度はAIコンパニオンを利用した経験があると答え、そのうち半数以上にあたる52%が月に数回以上利用していると報告しています。さらに驚くべきは、13%の若者がAIコンパニオンを毎日使っており、彼らにとってAIが生活の一部となっていることです。一方で、約4分の1の若者はまだAIコンパニオンを一度も使ったことがないと述べています。

恋愛スキル習得へのAI活用:若者の新たなコミュニケーション手段

AIコンパニオンを利用する758人の若者に、どのようなスキルを習得したいかを尋ねたところ、約8%が「恋愛スキル」、すなわち異性の気を引くための会話術や「口説き文句」の生成にAIを活用していると回答しました。これは、若者たちがAIを単なる情報源としてだけでなく、複雑な社会性や人間関係のシミュレーション、さらには実践的なコミュニケーションスキルの習得ツールとして捉えていることを示しています。

これまでBusiness Insiderも報じてきたように、AIは出会い系アプリの形を変える可能性を秘めており、すでにデートが可能なチャットボットを開発する企業も複数存在します。また、AIパートナーと恋愛関係に発展するケースも報告されています。大手テクノロジー企業メタ(Meta)のAIも、露骨な性的表現でない限り「誘い」のフレーズを受け入れるようにトレーニングされていることが、入手された文書で明らかになっています。

若者とAIコンパニオン:社会生活における課題と提言

AIコンパニオンは若者たちの社会生活に新たな側面をもたらしていますが、同時に課題も提起されています。コモン・センス・メディアは、以前から18歳未満の未成年がAIコンパニオンを利用することに対し注意喚起を行っており、今回の調査報告の終わりでもその忠告を改めて強調しています。

AIが提供するパーソナライズされた対話体験は、若者にとって魅力的な「デジタルフレンド」となり得る一方で、現実世界での対人関係の構築や、情報の真偽を見極める能力、プライバシー保護といった側面において、適切なガイドラインや教育の重要性が増しています。テクノロジーの進化が急速に進む中、若者がAIと健全かつ有益な関係を築けるよう、社会全体での継続的な議論と支援が求められます。


参考文献

  • Common Sense Media 調査報告書(Yahoo!ニュース掲載記事より)