「前かがみ」「肩が丸まっている」といった姿勢は、一般的に身体の「衰え」や「年齢的な弱さ」を示すものと見なされがちです。しかし、医師である野尻英俊氏は、単なる見た目の問題ではないと警鐘を鳴らしています。背中の丸まりは、放置すると健康寿命を縮めるだけでなく、命にかかわる深刻な事態に繋がりかねないというのです。野尻氏はその著書『人は背中から老いていく 丸まった背中の改善が、「動ける体」のはじまり』の中で、背中の丸まり改善に向けた日々の意識改革と、心構えの重要性を説いています。
健康リスクを示唆する背中の丸まり、猫背姿勢の人物イメージ
「病は気から」は科学的根拠あり:心の状態と免疫力
古くから伝わることわざに「病は気から」があります。これは、病気の回復や悪化が心の持ちようによって左右されるという意味です。一見すると非科学的に聞こえるかもしれません。しかし、近年の研究では、この言葉には科学的な根拠があることが明らかになっています。例えば、気分が落ち込んだり、「自分は病気かもしれない」といったネガティブな思考に囚われたりすると、それが不安やストレスとなり、身体の免疫力を低下させることが分かっています。免疫力の低下は、文字通り病気にかかりやすい状態を招きます。
その反対に、常に笑顔で活動的に過ごしたり、「自分は健康だ」「今日も元気だ」と強く信じたりする人は、病気になりにくい傾向があります。これは、目標達成のために必要な行動を実行できると信じる力、つまり「自分ならできる」と強く思うことの重要性を示唆しています。
成功を呼ぶ力「自己効力感」:姿勢改善への応用
「自分ならできる」という信念は、「自己効力感」として心理学の分野で研究されています。自己効力感は、スタンフォード大学の心理学者であるアルバート・バンデューラによって提唱された概念であり、教育やビジネス、スポーツ、そして健康分野など、多岐にわたる領域でその重要性が認められています。
自己効力感が高い人と低い人を比較した研究は数多く存在し、前者のほうが目標を達成したり、成功を収めたりする確率が高いというデータが豊富にあります。この事実は、「心の持ちよう」が単なる精神論ではなく、現実的な成果に繋がる強力な要因であることを物語っています。
ここで重要なのは、この「自己効力感」という概念を、身体の健康、特に背中の丸まりのような姿勢の問題改善に応用することです。
背中の丸まり改善の第一歩は「できる」と信じる力
背中の丸まりに代表される「背中の老い」という課題に向き合う際、この「病は気から」や「自己効力感」の考え方を活用することが非常に有効です。つまり、「私の背中の丸まりはきっと良くなる」「自分ならこの姿勢を改善できる」「努力すれば、必ずその分の良い結果が得られる」といったポジティブな信念を持つことが、改善への第一歩となるのです。まずは「できる」と強く信じることから始めることが、具体的な行動を促し、姿勢改善という目標達成の可能性を高めます。
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