JR東日本が発行する交通系ICカード「Suica」のイメージキャラクターとして長年親しまれてきた「ペンギン」が、2026年度末をもってその役割を終えることが発表されました。この方針が11月11日の会見で明かされると、SNS上では多くの利用者からペンギンの“卒業”を惜しむ声が上がり、その愛着の深さが浮き彫りになっています。
Suicaペンギンの歴史と坂崎千春氏の功績
Suicaのサービスは2001年に開始され、物理カードとスマートフォンで利用できる「モバイルSuica」を合わせると、これまでの累計発行数は1億2000万枚を超えています。Suicaペンギンの生みの親は、千葉県のマスコット「チーバくん」などを手がけたイラストレーターで絵本作家の坂崎千春氏です。2001年のサービス開始以来、ペンギンはSuicaの「顔」として絶大な人気を博してきました。JR東日本は現在、ペンギンの後任キャラクターについては未定としています。
Suicaペンギンがデザインされたグッズ(JRE MALLショッピングサイトより)
利用者からの「卒業撤回」を求める署名運動
四半世紀にわたりSuicaのキャラクターを務めてきたペンギンの卒業発表を受け、JR東日本の会見直後には、オンライン署名サイト「Change.org」にて「JR東日本にお願い。Suica公式キャラクターのペンギンの卒業撤回を願う署名」が立ち上がりました。11月13日夜の時点で1万8000件以上の署名が集まっており、利用者からの強い思いが示されています。
署名者からは、以下のようなコメントが寄せられています。
- 「とてもショックです。電車に乗るときにあのかわいらしい丸い顔がとっても癒やしなんです。JRのキャラというだけでなく、そばに寄り添ってくれる存在。変える必要ないと思います」
- 「Suicaのペンギンは出かける時もずっといっしょでしたしいつ見ても癒される存在でした。自分の意見としてはいち早く卒業案を撤回して欲しいです」
- 「Suicaのペンギンは子供の頃から慣れ親しんだ存在です。昔、NEWDAYSに置かれていたペンギンのバルーンと記念撮影したのを覚えています。ペンギンのグッズも持っています。今後もペンギンに活躍してほしいです」
これらの声からは、ペンギンが単なるキャラクターにとどまらず、多くの人々の日常に溶け込み、心の支えとなっていたことが伺えます。
JR東日本の公式見解と関連グッズの販売終息
四半世紀にわたる利用者の愛着と、卒業撤回を求める署名運動について、JR東日本はどのように受け止めているのでしょうか。本誌が11月13日にJR東日本コーポレート・コミュニケーション部門に問い合わせたところ、担当者は以下のように回答しました。「『Suicaのペンギン』は、『Suica』の認知度向上・利用促進に多大な貢献をいただきました。お客さまのこれまでのご愛顧に、心より感謝申し上げます」
また、Suicaペンギンは関連グッズも人気を博しており、JR東日本が運営する商業施設「エキュート」の上野、新宿、大宮では、ペンギングッズショップ「ペンスタ」が展開されているほか、オンラインショップも充実しています。X(旧Twitter)では、卒業発表後にJR東日本管轄駅のコンビニなどでグッズを購入したというユーザーの報告も相次いでいました。しかし、この関連グッズの販売についても、担当者は「2027年3月末日をもって、販売終了となる予定です」と明かし、キャラクター本体だけでなく、関連商品の展開も終息に向かうことが示されました。
Suicaペンギンの卒業は多くの利用者にとって残念なニュースですが、その功績は長く記憶されることでしょう。JR東日本が今後どのような新しいキャラクターを導入するのか、そしてそれがどれほど利用者に愛されることになるのか、注目が集まります。





