東京都内の水道施設の整備・管理を手がける「東京水道サービス」(新宿区)が、海外展開に力を入れている。水道法改正で「水メジャー」と呼ばれる外資系巨大企業の国内進出が注目される中、同社は高い技術力を武器に「日本版水メジャー」構想を掲げ、外資系に対抗しようとしている。水道管の漏水箇所を見つける小型機器を開発するなど同社の技術力には定評がある。欧米優位の水インフラ分野への挑戦が始まった。(山本雄史)
東京水道サービスは12月中旬、クウェートに30代の職員を派遣する。料金を徴収できない漏水など「無収水」の削減方法について、クウェートの電力・水省の職員を対象に英語で講義をする予定だ。
同社は、既に政府開発援助(ODA)によるミャンマー・ヤンゴン市の水道事業運営改善プロジェクトに参画。2017年には、ブラジルの水道事業に参入した住友商事に漏水調査などでも協力した。
水インフラの世界は水メジャーが支配する。例えば、仏ヴェオリアは世界各地で9500万人に水道サービスを提供し、2018年のグループ連結売上高は259億ユーロ(約3兆1千億円)に上る。年間売上高が約160億円の東京水道サービスは、規模の面で足元にも及ばない。
だが、技術力では世界最高水準だ。主要都市の漏水率は、東京都の2・85%に対し、ロンドンは26%、パリも8・3%と高い。中東や東南アジアでも漏水は懸案事項だ。
自前の技術力に着目し、海外展開を牽引(けんいん)するのは今年5月に就任した野田数社長(46)だ。野田氏は小池百合子都知事の特別秘書を務めた人物。