大切な家族を守る『おうち防災』:大地震その瞬間の行動と夜間対策

大地震はいつ、どこで起きるか予測できません。自宅にいる時か、職場で活動している時か、あるいは昼間か夜間かによって、取るべき行動は大きく変わってきます。しかし、どのような状況でも、身を守るための初動の知識と、災害発生前に家庭でできる準備は非常に重要です。誰でも実践できる「おうち防災」の基本は万全でしょうか。このシリーズでは、『大切な家族を守る「おうち防災」』から、いざという時に役立つ情報を抜粋、再編集してお届けします。(全3回中の1回目)

大地震発生、その瞬間どうする?

もし今、大地震が発生したら、あなたはどう行動しますか?それが夜中でしょうか、それとも昼間でしょうか?家族と一緒に家にいるかもしれませんし、職場にいるかもしれません。発生時の状況によって、適切な対応は異なります。そのため、どんな状況で地震に遭遇しても対応できるよう、日頃からシミュレーションしておくことが極めて大切です。

緊急地震速報が鳴り響いた直後、最優先すべきは自身の安全確保です。これは条件反射的に行えるよう、体にインプットしておく必要があります。もし近くに頑丈な机やテーブルがあれば、迷わずその下に潜り込みましょう。隠れる場所がない場合は、とにかく倒れてくる可能性のあるものや、移動するものから距離を取ることが重要です。

子どもたちにも、こうした初動の行動をあらかじめ伝え、訓練しておく必要があります。「かくれんぼ」のような遊びを通じて、「揺れたら机の下に隠れようね」「揺れたら本棚から離れようね」といった約束事を体に覚えさせましょう。幼稚園や保育園で習う「ダンゴムシのポーズ」も有効ですが、そのポーズを取る前に、まず「落ちてくるもの、倒れるもの、移動するものから離れる」という最も大切な原則を伝えることが肝心です。

そして、実際に揺れを感じた際には、パパやママが大きな声で具体的な指示を出すことで、子どももパニックにならずに行動しやすくなります。「危ない!机の下に入って!」「ここから離れて!」など、的確な指示を落ち着いて伝えることが重要です。

かつては「揺れたらまず火を消し、ドアを開ける」と言われることもありましたが、激しい揺れの中で移動するのは非常に危険です。現在のガス機器は、大きな地震を感知すると自動的に供給が停止するものが一般的です。大地震発生時は、無理に動き回らず、その場で安全な場所を見つけ、揺れが収まるまで耐えることが身の安全を守る最善策なのです。

地震発生時の初動、身の安全確保のため机の下に隠れる様子地震発生時の初動、身の安全確保のため机の下に隠れる様子

揺れが収まったら、夜間の行動

特に夜、就寝中に大地震が起きたケースを想定してみましょう。大地震では広範囲で停電が発生する恐れが高く、真っ暗な中で行動するのは大変危険です。揺れが収まったら、まず明かりを確保し、次に足元の安全を確保することが重要になります。そのため、すぐに手に取れる場所に明かりとなるものと、ガラスの破片などで足を怪我しないためのスリッパなどを枕元に準備しておくことが推奨されます。

2016年の熊本地震で被災されたある女性の話は、この準備の重要性を示唆しています。夜9時過ぎにベッドで横になっていたところ地震が発生し、ベッドにしがみついて何とか揺れに耐えたそうです。この女性は防災意識が高く、日頃からベッド横の棚に懐中電灯、車の鍵、スリッパなどを置いて備えていました。しかし、揺れが収まり停電で真っ暗になった後、それらを探しても全く見つからなかったと言います。翌朝、明るくなってから確認したところ、棚の上の物は全て2〜3メートルも飛んでおり、用意していた懐中電灯も真っ二つに割れていたそうです。この体験談は、大きな地震では置いてある物が想像以上に遠くまで飛散してしまう現実を物語っています。

この話を聞いてから、私は寝る時の防災対策を見直しました。現在では、ホイッスル付きのネックライトと、怪我防止用の折りたたみスリッパを小さなポーチに入れ、そのポーチを自分の枕の下に挟んで寝るようにしています。これを私は「まくら下ポーチ」と呼んでいます。メガネや補聴器が必要な方も、揺れで飛んだり割れたりしないよう、ケースに入れて枕の下に挟んでおくことをお勧めします。枕の下に何かあると違和感があって眠れない場合は、ベッドの足元に括り付けるなど、揺れで飛んでいかないような工夫を施すことが大切です。この「まくら下ポーチ」の考え方は、大人だけでなく、お子さんを含め家族一人ひとりに必要となる備えです。子どもの枕元や枕の下にも、忘れずに用意してあげましょう。

まとめ

大地震発生時の初動対応は、命を守る上で最も重要な要素の一つです。状況に応じた適切な行動を日頃からシミュレーションし、頑丈なものの下に隠れる、倒壊物から離れるといった基本を体に覚え込ませておくことが大切です。特に夜間の地震に備え、揺れが収まった後に安全を確保するための準備、具体的には明かりと足元を守るものを枕元や手の届く範囲に確保しておくことの重要性をお伝えしました。熊本地震の教訓からもわかるように、物は想像以上に飛散するため、確実に身近に置いておくための工夫が必要です。「まくら下ポーチ」のようなアイデアを参考に、ご家庭の防災対策を見直してみてはいかがでしょうか。これは「おうち防災」の第一歩です。

参照元

https://news.yahoo.co.jp/articles/0b00e39738f167844b5eb019bdaa1f87dfc0ca7d