テキサス州で大規模洪水、24人死亡・少女キャンプ参加者20人超不明

アメリカ南部テキサス州で4日未明、大規模な洪水が発生し、同州中南部カー郡を流れるグアダルーペ川が氾濫した。当局によると、これまでに24人の死亡が確認され、さらに川沿いの女子用サマーキャンプ「キャンプ・ミスティック」の参加者のうち、20人以上の行方が分からなくなっている。この突然の災害は、広範囲にわたる破壊と悲劇をもたらしており、地元当局は懸命な捜索・救助活動を展開している。

洪水の規模と被害状況

テキサス州のダン・パトリック副知事は4日の記者会見で、グアダルーペ川の水位がわずか45分の間に約8メートルも急上昇したと説明した。この「破壊的な洪水」により、多くの家屋が流され、尊い人命が失われたと述べた。特に甚大な被害を受けた川沿いの場所には、約750人の子供が参加していた女子専用のサマーキャンプ「キャンプ・ミスティック」があった。当局は、このキャンプに参加していた最大25人の少女の行方を捜している。隣接するケンドール郡でも1人の死亡が確認されたが、大雨が原因かどうかは現時点では不明だという。

テキサス州の洪水被害地域で捜索・救助活動にあたる救急隊員たちテキサス州の洪水被害地域で捜索・救助活動にあたる救急隊員たち

捜索・救助活動の現状

テキサス州兵のトマス・スエルツァー司令官は、水位上昇によって孤立した人々の救出のため、水難事故専門の救助隊員を乗せたヘリコプター5機や軍用戦術車両を投入したことを明らかにした。これまでの活動で、合計237人が救出されている。捜索活動は困難を極めており、行方不明となっている子供たちの一刻も早い発見が望まれている。

当局の対応と警報システム

テキサス州のグレッグ・アボット知事は、今回の事態を「きわめて異例の大惨事」と表現し、緊急事態を宣言した。これにより、行方不明者の捜索・救助に必要な最大限のリソースが優先的に投入されることになる。ドナルド・トランプ米大統領もこの洪水について、「ひどい」「ショッキングだ」と述べ、事態の深刻さを示唆した。

カー郡の行政トップであるロブ・ケリー判事は記者会見で、なぜグアダルーペ川沿いのサマーキャンプに避難勧告が出ていなかったのかという質問に対し、「この洪水が起きるとは事前には誰も知らなかった」と答えた。さらに、河川氾濫が頻発するこの地域には、十分な「警報システムがない」現状を指摘し、今回の被害の背景にある課題を浮き彫りにした。

現場からの報告と今後の見通し

BBCが提携する米CBSニュースの記者は、洪水被害のあったカーヴィルの現場を取材し、BBCに対してその様子を説明した。グアダルーペ川の川辺には他にも多くのキャンプ場があり、独立記念日を祝う人々が多数集まっていたはずだが、4日朝の時点ではそれらのキャンプ場は完全に水没していたという。CBSのジェイソン・アレン記者は、「災害現場に来るとたいていは、何かが残っているので破壊の程度がわかるものだが、ここではグアダルーペ川の水がすべて押し流してしまった」とその壊滅的な状況を伝えた。

米国立気象局によると、テキサス中部より西側の地域では今後も河川氾濫が発生する可能性がある。3日夜からこの地域全体に数センチの雨が降り、既に土壌に大量の水が含まれている上、洪水も発生したことから、さらに降雨が続くと地盤が緩む恐れがある。同州サンアントニオ地域では4日夜にかけても雨が続く予報が出ており、さらなる大雨の可能性も懸念されている。

今回のテキサス州での大規模洪水は、予期せぬ自然の猛威と、災害準備における課題を改めて浮き彫りにした。当局と地元住民は協力して、被害からの復旧と行方不明者の捜索に全力を尽くしている。

出典: BBC News