トランプ・李在明米韓首脳会談:米朝対話再開と日米韓連携強化への期待

トランプ米大統領は25日、ホワイトハウスで韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領と初の対面会談を行った。この歴史的な会談で、李大統領は朝鮮半島情勢の緊張緩和を目指し、トランプ氏と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記との再会談を要請。トランプ大統領は年内の米朝首脳会談開催に前向きな姿勢を示し、「今年中に会いたい」と述べた。両首脳はまた、日米韓三カ国の連携強化の方針も強調し、地域の安定に向けた協力の重要性を確認した。

米韓首脳会談:米朝関係の進展を巡る議論

会談冒頭、李大統領はトランプ氏の仲介外交を高く評価し、「世界で唯一の分断国家である朝鮮半島に平和をもたらしてほしい」と強く訴えた。北朝鮮は李政権との直接対話を拒否しているものの、金与正(キム・ヨジョン)党副部長は7月28日の談話で、金正恩氏とトランプ氏の「個人的な関係が悪くないという事実を否定したくはない」と言及。これを受け、李大統領は「トランプ大統領こそが問題を解決できる唯一の人物だ」と持ち上げ、米朝対話再開への期待をにじませた。

ホワイトハウスでの米韓首脳会談で握手を交わすトランプ米大統領と李在明韓国大統領ホワイトハウスでの米韓首脳会談で握手を交わすトランプ米大統領と李在明韓国大統領

北朝鮮が「非核化を目的とした交渉には応じない」との立場を明確にしている中、トランプ氏は会談で「核兵器の拡散は止めなければならない」と強調しつつも、具体的な非核化要求は明言しなかった。トランプ氏は1期目(2017~21年)に金正恩氏と3回会談した経験から、「友好的で尊敬しあっていた」と振り返り、北朝鮮との関係改善を目指す李政権の外交方針を評価。「我々は大きな成果を得られるだろう」と述べ、対話を通じた解決への可能性を示唆した。

2018年の米朝首脳会談で歴史的な握手を交わすトランプ大統領と金正恩総書記2018年の米朝首脳会談で歴史的な握手を交わすトランプ大統領と金正恩総書記

日米韓連携強化と懸念事項

両首脳は日米韓三カ国の連携を重視する考えを重ねて強調した。トランプ氏が日韓間の歴史問題が連携の障害となってきたとの認識を示すと、李大統領は訪米に先立ち日本で石破茂首相と会談したことに言及。「多くの要因が解消され、韓日関係の将来は明るい」と述べ、両国間の懸念払拭に努める姿勢を示した。

在韓米軍の削減の可能性について記者団から問われたトランプ氏は、「今は言いたくない」と直接的な回答を避けた。しかし、在韓米軍駐留経費に関しては、「韓国は私の1期目では増額に応じたが、バイデン前政権の時には文句を言って数十億ドルを払わなかった」と指摘。さらに、在韓米軍基地の土地所有権を米国に譲渡するよう要求する考えも示唆し、防衛費分担を巡る米韓間の課題が浮き彫りとなった。

経済協力と今後の展望

米韓両政府は7月30日に、米国が韓国への関税を15%とする見返りに、韓国が米国の液化天然ガス(LNG)などを購入し、造船分野で協力する内容の関税協議に合意している。今回の首脳会談では、両首脳はこの経済合意を着実に推進していく方針を改めて確認した。また、トランプ氏は10月末に韓国で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席する意向も表明し、今後の地域経済協力への関与も示唆した。

今回の米韓首脳会談は、朝鮮半島情勢の打開と日米韓連携の強化に向けた重要な一歩となった。米朝首脳会談の年内開催への意欲が示されたことで、北朝鮮の非核化問題や地域の安全保障環境に新たな動きが生まれる可能性が高まっている。また、日韓関係の改善努力や、在韓米軍問題、経済協力といった多岐にわたる課題への両国の取り組みが、今後の国際情勢に大きな影響を与えることが予想される。

参考文献

  • ロイター通信
  • 毎日新聞
  • Yahoo!ニュース (記事掲載元)