日本の未来を拓く壮大なプロジェクト、リニア中央新幹線の建設が着々と進められています。その大部分が地下深くを高速で駆け抜ける一方で、山梨県内の一部区間では、地上に姿を現す高架橋が重要な役割を担います。特に、同県内で建設が進む「釜無川橋梁」と「常永川橋梁」は、リニアの地上ルートを形成する要となる構造物であり、その最新の進捗状況は、日本の交通インフラの未来に大きな期待を抱かせます。
地上駅と「最長」を誇る主要橋梁
リニア中央新幹線の山梨県駅(仮称)は、品川や名古屋の主要駅とは異なり、地上に設けられる計画です。この山梨県駅から名古屋方面へ約5km進んだ地点には、広大な富士川水系の常永川と釜無川が横たわっており、これらを跨ぐために巨大な橋梁群が建設されています。
JR東海が手掛けるこれらの橋梁のうち、釜無川橋梁は長さ754mを誇り、品川―名古屋間の高架橋としては最長となります。これに長さ225mの常永川橋梁、そしてこれらをつなぐ68mの橋梁や前後の構造物を含めると、総延長は1238mにも及ぶ巨大なインフラが形成されます。この壮大なスケールは、リニアの高速走行を支える基盤として、日本の土木技術の粋を集めた証と言えるでしょう。
初公開された建設現場の「今」
JR東海は8月5日、中央市内にある常永川橋梁の建設現場上部を報道陣に公開しました。川を跨ぐ高架橋の公開は今回が初めてとなり、その注目度の高さが伺えました。現場担当者の案内で高さ約18mの最上部に足を踏み入れると、視界を遮るもののない360度のパノラマが広がり、遠く甲府盆地全体を見渡すことができます。
高架橋の幅は16mあり、将来的に上下線のリニア車両がこの場所を行き交うことになります。一般的な鉄道が鉄輪で線路を走るのに対し、リニア車両はU字型のガイドウェイに沿って磁力で浮上・走行します。まだガイドウェイ本体は設置されていませんが、その設置予定場所には既に強固な鉄筋が取り付けられており、未来の超電導リニアがここを駆け抜ける姿を鮮やかに想像させます。この精密かつ大規模な工事は、リニア中央新幹線の実現に向けた確かな一歩を実感させるものです。
山梨県中央市で建設中のリニア中央新幹線釜無川橋梁。広大な敷地に伸びる長大な高架橋の全景。
リニア中央新幹線の山梨県内における高架橋建設は、日本の次世代高速鉄道網構築に向けた重要な工程の一つです。特に「最長」となる釜無川橋梁をはじめとする巨大構造物の進捗は、未来の交通インフラへの期待を一層高めています。このプロジェクトが完成を迎える時、日本の社会と経済に計り知れない変革をもたらすことは間違いありません。