懐かしのファミコンセーブ術「リセット同時オフ」の理由とは?

現代のゲームは、カセットからディスク、そしてダウンロードへと進化し、セーブ方法も大きく変わりました。そんな中、特にファミコン世代にとっては忘れられない「リセットボタンを押しながら電源を切る」という、データ保存のお約束がありました。この独特な手順を初めて意識したのが、『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』だった、という方も多いのではないでしょうか。

ファミコン版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』のタイトル画面。「リセット同時オフ」のセーブ方法が印象深い作品。ファミコン版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』のタイトル画面。「リセット同時オフ」のセーブ方法が印象深い作品。

パスワード入力の苦労から解放された喜び

それまで、ファミコンゲームで一日ではクリアできない大作RPGを中断するには、長いパスワードをメモする必要がありました。『ドラゴンクエスト』の1や2では、この「ふっかつのじゅもん」を一つでも間違えて記録してしまうと、「じゅもんがちがいます」と表示され、それまでの冒険が水の泡になってしまう悲劇も多くの子どもたちが経験しました。

データセーブを可能にした「バッテリーバックアップ」

このパスワード地獄からプレイヤーを救ったのが、ファミコンカセットに搭載された「バッテリーバックアップ機能」でした。これは、カセット内部に小さな電池を組み込み、本体の電源が切れた状態でもデータを保持するという画期的なシステムです。

ドラクエIIIやFFIも採用した新技術

ファミコンソフトで初めてバッテリーバックアップ機能が導入されたのは、1987年発売の『森田将棋』(セタ)とされており、RPGでは『未来神話ジャーヴァス』(タイトー)が最初です。そして多くのプレイヤーがこの機能を実感した『ドラゴンクエストIII』より先に、1987年発売の『ファイナルファンタジー』(スクウェア)でも既に採用されていました。ゲーム以外では、『ファミリーベーシック』(1984年)にも搭載されていました。

なぜ「リセットしながら電源オフ」だったのか?

バッテリーバックアップによってセーブの手間は劇的に減りましたが、新たな「お約束」が生まれました。それが「リセットボタンを押しながら本体の電源を切る」という操作です。この手順を踏まないと、せっかく保存したセーブデータが破損したり消えてしまったりする可能性があったのです。多くのプレイヤーは、なぜこの操作が必要なのか深くは知らずとも、「そうしないとデータが消えるらしい」という認識でこの動作を行っていました。

バッテリーバックアップ機能は、ファミコン時代のゲーム体験を大きく変え、より深く長い冒険を可能にしました。「リセットしながら電源オフ」という独特な手順は、今となっては考えられませんが、当時のゲーマーにとってはセーブを完了させるための重要な儀式であり、ファミコンというハードと共に記憶に残るワンシーンと言えるでしょう。

参照元

https://news.yahoo.co.jp/articles/e78a9f068d7ce120949608fcaee6c6fd4a19e2a2