フジテレビ検証番組、佐々木恭子アナが性被害対応を初告白「専門家関わってないと無理だった」

フジテレビは6日、人権、コンプライアンス問題に関する検証番組「検証 フジテレビ問題 ~反省と再生・改革~」を放送しました。この番組で、当時アナウンス部長として、元タレント・中居正広氏からの被害を受けたとされる元アナウンサーAさんの対応にあたった佐々木恭子アナウンサーが、一連の事案について初めてインタビューで口を開きました。

フジテレビの検証番組で発言する佐々木恭子アナウンサーフジテレビの検証番組で発言する佐々木恭子アナウンサー

黒シャツ姿でVTR出演した佐々木アナは、約3分弱にわたり当時の状況や心情を語り、途中で目をうるませる場面もありました。

初動対応の難しさと後悔

初期対応について、佐々木アナは「今思えば、本当に初動から専門家が関わってないと絶対に自分たちでできることじゃなかったと思います」と振り返りました。被害に遭った人が業務に復帰するために必要な環境について、「私たちにとっての思いの至らなさってことが、あったと思います」と語り、当時の認識の甘さを認めました。「『私が一人で窓口を務めるのはもう無理です』ってことを言っていれば、違ったサポートが組まれてたのかなと、振り返ると思ったりするんですよね」と、個人で抱え込んだことへの後悔もにじませました。

アナウンサーAさんの降板と退職

Aさんの番組降板や退職について、佐々木アナは自身が降板を依頼したことを明かし、「何とか自分がつらい経験を乗り越えて生きてこうと思っている望みを、プツン、プツンと切っていくことをやらなくてはいけないのは、本当に…え~…。せざるを得ないのか…」と当時の葛藤を吐露しました。

特に、Aさんが退職する日に見送った光景は忘れられないとし、「一人の女性が尊厳を傷つけられて、復帰を目指していたけれども…。ある種、時間がたてばたつほど本当に絶望して辞めざるを得なかったんだ、っていうことを、非常に重く受け止めています」と述べました。そして、「ああ、このことがきっかけで一人の女性が、好きな仕事を辞めなきゃいけないんだってすごく思いました。一方、相手(中居氏)は特に変わらないでいるわけです…。これは何だろうとすごく思いましたね」と、被害者と加害者とされる人物の状況の差に対する疑問を投げかけました。

対応への反省と謝罪

自身の対応が十分ではなかったと感じている佐々木アナは、「足りなかったよねって、申し訳ないと思いましたね」と謝罪の言葉を述べました。第三者委員会の調査報告書で「外形的な意向しか把握できてなかった」と記されていたことについて、「まさにそれです」と認め、「たぶん、もっともっと、聞いてほしいことがあっただろうなと思ったし」と、被害者の声に寄り添いきれなかったことへの反省を示しました。

同局は元タレント・中居正広氏の性暴力に端を発する問題を受け、再生・改革に向けたプランを公表し、改革を進めています。また第三者委員会による調査報告書を受け、検証を続けてきました。なお、佐々木アナは7月人事で、アナウンス部長から局次長に昇進しています。この問題は、日本のメディアにおけるハラスメント対応やコンプライアンス意識の重要性を改めて浮き彫りにしています。