「まだ人生続きます。ゆっくり時間をかけて自分自身も見つめながら、行動を起こしていきたい。もしも皆さんの心に余裕がありましたらどうか見守ってほしい」――報道陣に向け謝罪の言葉を述べ頭を下げた松岡昌宏氏に、自然と拍手が起こった。これは、国分太一氏のコンプライアンス違反による無期限活動休止を経て、人気アイドルグループTOKIOが解散を発表した際の異例の出来事である。メンバーによる不祥事後の謝罪の場にもかかわらず、このような反応が見られた背景には、TOKIOが長年にわたりメディアや国民から深く愛されてきた理由がある。本記事では、TOKIOがいかにして単なるアイドルファンを超え、お茶の間を含む多くの人々から「国民的アイドル」として支持されたのか、その独自の魅力とパブリックイメージに迫る。
TOKIO 解散発表 国分太一氏の活動休止に関する記者会見の様子
国民に愛された「気さくな兄ちゃん」としての顔
TOKIOが多くの人に愛され、親しまれた最大の理由の一つは、その「気さくなキャラクター性」にあったと言えるだろう。「LOVE YOU ONLY」や「AMBITIOUS JAPAN!」、「宙船」といった数々のヒット曲や、メンバーが出演したドラマによる人気ももちろん大きいが、それ以上に彼らのパブリックイメージを決定づけたのは、『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)や『メントレ』、『TOKIOカケル』(フジテレビ系)といったバラエティ番組で見せ続けた姿だ。
バラエティ番組で見せるテンポの良い掛け合い、ゲストへの絶妙な距離感、そして時折見せる天然な一面など、彼らはどこか身近で親近感を生む要素に溢れていた。飾らない、まるで近所にいるような「気さくなお兄ちゃんたち」というイメージは、特にアイドルファンではない層からも強い共感を呼び、幅広い世代から支持される基盤となった。
「真剣さ」と「正直さ」が築いたもう一つの顔
「気さくさ」と並ぶTOKIOのもう一つの大きなパブリックイメージは、「真剣に、そして正直であること」だ。これを最も体現していたのが、1995年に深夜枠で始まり、今年で30年目を迎えた長寿人気番組『ザ!鉄腕!DASH!!』である。
番組開始当初の深夜時代から、電車とリレーの競争、ストリートミュージシャンとしての収入検証、アヒルのおもちゃを川から海まで流す実験など、全力で体を張る体当たり企画は多かった。人気アイドルでありながら、ある意味「泥臭く」「くだらないこと」にさえ真剣に取り組む彼らの姿は、視聴者に強い好感を与えた。番組がゴールデンタイムに進出すると、「DASH村」や「DASH海岸」の開拓、地域を巡る「3000歩でどこまでいけるか」や食材探し企画「0円食堂」など、スケールの大きな企画に「忖度なし」でガチンコ挑戦する姿勢は、彼らの「真剣さ」と「正直さ」をより一層際立たせた。長年にわたり、困難な課題にも諦めずに挑戦し続ける彼らの姿は、単なるバラエティ企画を超え、ドキュメンタリーを見ているかのような感動と信頼を国民に与え、お茶の間に愛される存在を確固たるものとしたのである。
結論として、TOKIOが今回の解散発表という難しい状況下でも、一部から温かい反応を引き出したのは、彼らが長年にわたり築き上げてきた「気さくでありながら、何事にも真剣かつ正直に取り組む」という独自のパブリックイメージがあったからに他ならない。ヒット曲やドラマだけでなく、特にバラエティ番組を通じて見せた彼らの人間性が、単なるアイドルの枠を超え、国民的な存在として多くの人々の心に深く根付いていたことの証と言えるだろう。